日本の山里の自然と動物たちの姿を美しいタッチで描いた、
四季の物語「みのりのえほん」シリーズ。
夏から秋の季節を描いたこの物語でシリーズ完結です。
雨がほとんどふらない夏が終わり、いつもと違う森の様子に気がついたリス。
誰かに呼ばれた気がしたリスの向かった先は「うたうたいのおばあさん」が住む森。
てっぺんにひとつだけ、一番星のようなドングリがついているおばあさんの木から、
昔住んでいた美しい丘の話を聞いたのでした。
その次の日、大きな嵐がやってきて、ドングリのおばあさんの木も力尽きようとしていました。
昨日の話を聞いていたリスとノウサギは、おばあさんの残したドングリを故郷に戻そうと決意するのですが…。
ひとつぶのドングリが教えてくれた、森からのメッセージ。
可愛らしいだけでなく、自然の厳しさの中で生きる動物たち。
そして環境の変化にも身を任せるしかない森の木々。
それらを優しく丁寧に描いたこの絵本を読んでいると、本当に森から声が聞こえてくるような気がします。
作者の千世さんは語ります。
「森へ出かけてください。そして命あるものにふれてください。もし出かけることができなければ、どうかひとつぶのドングリを心に植えてください。」
そうすることで、私たちにも本当に大切なものが見えてくるのかもしれません。
巻末には、山里の自然や動物たちの知識を深める解説もついています。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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