ぼくは、きみがコップにそそいだきゅうにゅう。
あっ、のまないで!ぼくがいなくなっちゃう。
・・・あれ?ほくはいる。きみのなかにいる。
大好きな牛乳を飲みほしたら、コップの牛乳はいなくなる?
いや、ぼくの中にはちゃんといる・・・みたい。
じゃあ、今朝食べたパンも?タマがびりびりにしてしまった絵本も?
芥川賞作家藤野可織さんが、初めて手がけた絵本で伝えてくれるのはどんなことだろう。
「ぼくが大好きなもの、例えなくなったとしても、それはぼくのなかにいる。」
言葉で並べてみると簡単そうなこと。でもちゃんと想像してみて!
どういうことなのかな。
高畠純さんが描いたコップにそそいだ牛乳や、バターをぬったパンは、とってもチャーミングでユーモラス。
絵本を読んでいる子どもたちは、一目で好きになってしまうはず。
だからこそ読んでいるうちに、子どもたちにとっては世界がひっくり返ったような気持ちになってしまうのでは。
「消えちゃったのに、なんでいるの?」「ぼくは何でできているの?」「みんなも同じなの?」
もしかしたら、頭の中がグルグルってなっちゃう子もいるかもしれません。
親しみやすい言葉と絵、でも子どもたちの心のどこかに必ずひっかかってくるような絵本です。
自分って不思議だよね。世界っておもしろいよね!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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