100人のおじいさんと100人のおばあさんが住む町は、おしゃべりする人が誰もいない、とても静かな町。その町にある日、ひとりの男の子がやってきます。
男の子がチョコレートを買ったお菓子屋さんのおばあさんも、チョコレートを食べるために寄った公園にいたヤコポおじいさんも、男の子とおしゃべりをすることはしません。
でも、男の子は食べたらおしゃべりをせずにはいられない、不思議な「おしゃべりこんぶ」を持っていました。早速、その「おしゃべりこんぶ」をヤコポおじいさんにあげた男の子。するとたちまち、ヤコポおじいさんは「こりゃあ、いける!」とおしゃべりをはじめました。
ヤコポおじいさんのおしゃべりを聞いた男の子は、「そうだ!」とおしゃべりこんぶを持っている、100人の男の子と100人の女の子を町に呼びました。子どもたちからおしゃべりこんぶをもらったおじいさん、おばあさんがこんぶを噛みはじめると……。
日本人になじみ深い駄菓子の「こんぶ」で巻き起こる、ちょっぴりふしぎで、心がほっこり温かくなる、ハートウォーミングなおはなし。
おしゃべりこんぶによって、おしゃべりをするようになったおじいさんおばあさんの顔は、どれも溌剌としていて、とっても明るく、読んでいるこちらまで笑顔になってしまいます。
作者のおかいみほさんは、イタリア・ファエンツァ在住の絵本作家さん。
こんぶという和の食材を扱っていながらも、絵本に描かれている街並みは、赤い屋根が特徴のとてもオシャレな外国の雰囲気。
日本もこのおはなしの町の様に、子どもたちとおじいさんおばあさんが世代を超えて、元気に交流できるようであればいいな……と願いを込めたくなる作品です。
(木村春子 絵本ナビ編集部)
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