りっぱなツノがはえたサイ。
だけど、彼は自分の姿が大嫌い。
「かおの どまんなかに おおきな つのがある
ひふは はいいろで ぶあつい。
せなかは もりあがっていて、
くちびるまで かたい。
みみときたら らっぱみたいだ。」
こんな姿は誰にも見られたくない。消えてしまいたい。
ぎゅっと目をつぶり、願います。
自分が好きになれない、そんな瞬間って誰にでもおとずれるはず。
そんな時、自分だったらどうするだろう。
部屋に閉じこもる? そんなの気にしない?
サイは、自分の姿が消えてしまうのです。
願いがかなって喜ぶサイ。他人の目を気にせず自由気ままに過ごせることを楽しみます。
だけどある時、水辺で女の子に出会い、サイの中に違う感情が生まれてきて・・・。
心の中に潜む繊細な心の動きを、ダイナミックな線と優しい色彩で描き出します。
どこまでも深くて暗い自分の中の悩み、だけど世界が変わって見えるきっかけは、ささいな瞬間に隠れているものです。
「きっと誰かが見ていてくれるよ。」
そんな温かいメッセージが聞こえてくるような絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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