ちいさな「おやま」のふもとには、ちいさなまちがありました。 おやまはまちを見守ってきましたが、だんだんまちが大きくなるにつれ、おやまは大事にされなくなりました。 ゴミを捨てられ、あげくの果てには、おやまにトンネルを掘ろうという話まで聞こえてきます。 とうとう、おやまは、夜中に立ち上がるとずんずん歩きだしました……。
きょろりとした目玉のおやまに、にょっきり足が生え、歩いて歩いて、世界中旅をして。 「おやまー」とにこにこしながら旅先になじもうとする姿は微笑ましさ満点です。 でもね、最後の最後にたどりついた場所で、にんまり微笑むおやまの顔にはかないません。 秋色に染まった、おやまの最高の笑顔! そしておやまをかこむ人たちの幸せな風景をお楽しみに。
ふもとのまちの人たちにとって、見上げればいつもそこにあった、おやま。 いなくなってはじめて、おやまの大切さがわかります。 身近すぎてつい忘れがちだけど、本当はすごく大切なもの、あなたにもありませんか? 愛らしい絵、ほのぼのした余韻とともに、“大切な何か”を思い出させてくれる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
「おやま」は、ふもとの町と人々を見守ってきました。ところが人々は「おやま」にゴミを捨てにきたり、トンネルを掘る話まで。「おやま」は立ち上がると、ずんずん歩きだします。「おやま」が歩きに歩いてたどりついた先は……。
お山に限らず、自分の身の回りにある物、いる人、全て大切な存在として扱わないといけないないと思いました。お山自身が自ら動いて自分の居場所を模索するという新しい切り口のお話で、面白いなと思いながら読みました。 (梅木水晶さん 30代・ママ 女の子5歳、男の子3歳、女の子0歳)
|