おばけのアッチとコッチとソッチ。表紙の絵に思わず「懐かしい!」と声をあげてしまいそうになるこちらは角野栄子さんと佐々木洋子さんによる「小さなおばけ」シリーズの31番目のお話。1巻目の『スパゲッティがたべたいよう』が1979年に刊行されてから35年たった2014年の今でもつぎつぎにお話が刊行されているんです。
今回の主人公は町のあめやさんの階段に住むおばけの女の子、ソッチです。ソッチは一年生。あわてんぼうで、赤い髪はいつももしゃもしゃ。でも一番乗りで学校にとんでいきます。ちょっとじまんやさんだけれど、ソッチはいつもクラスの人気者。ある日あめやのおばあちゃんが病気になり、代わりにお店番をすることになります。でもお金の計算がうまくいかなくて全部10円で売ってしまったり、お客さんを集めるのに悩んだり。ソッチ、だいじょうぶ?
「森のむこうの町にね、ソッチみたいな小さなおばけがいてね、レストランやってるんだって。まいにち、おきゃくさんがいっぱいきてだいはんじょうなんだって」
そんなクラスメートの言葉を聞いたソッチは、さっそく森のむこうの町にあるレストランをたずねます。「いらっしゃい」と最初に出てきたのはまえかけをしたねこ。どこかで見覚えが…と思っていたら、そう!こちらは「小さなおばけ」シリーズでおなじみの“のらねこボン”。さらにキッチンから出てきたのは、なんと、アッチ!おばけのソッチとアッチの初めてのご対面です。「小さなおばけ」シリーズファンにはたまりませんね。いったいどんな会話がくりひろげられるのでしょうか。
なめたら「ぞびぞびぞ〜 ぞびぞびぞ〜」っておばけごえになっちゃうソッチの「ぞびぞびキャンディー」。ソッチはアッチと話しているうちにあめの上手な売りかたも発見したようですよ。巻末にはこの「ぞびぞびキャンディー」のつくり方ものっているので、お話を読んだ後、お子さんと一緒に作ってみるのもいいですね。
とってもかわいくてゆかいなおばけが活躍する「小さなおばけ」シリーズ。親から子へ、ずっーと長く引き継いでいきたい、楽しさと温かさに満ちたお話です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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