「ねえ アナ、ぼく おなかが すいて フラフラだよ・・・」
ぬいぐるみのペギーが部屋に入ってきて言いました。
「フラフラならフラダンスでもおどれば、ペギー!」とアナ。
「そんな いじわる いわないで、ぼくにチョコケーキつくってよ!」
「やだ〜!でも いっしょに つくるのなら いいよ!」
アナがそう言うと、
「いいな〜!ぼくたちもいっしょに つくりた〜い!」
ぬいぐるみたちは大賛成!
早速、アナは初めてのチョコケーキをぬいぐるみたちと一緒に作ることに。
アナは的確にみんなに指示を出し、材料を集めます。順調。順調・・?
ところが、みんながそれぞれ自由に作業を始めてしまうのです。
クマのころろんは、落ち着いて一人で作りたいと材料をもって出て行くし、緑のもじゃもじゃは、ボウルの中の溶けたチョコレートを混ぜるのではなく、バチャッ!バチャッ!。「し・ず・か・に!」アナが注意しても、もう止まりません。ボウルは宙を飛んで窓にあたって、跳ね返ってみんなのもとへバッシャ〜ン!大変だ。キッチンは、べチャべチャのドロドロ、みんないやになって喧嘩をしてしまう始末。
アナのイライラはMAXに!ああ、こんなんで本当にケーキは作れるの〜?
とびっきりかわいい主人公たちが、チョコケーキ作りの悪戦苦闘する様子が愛らしくてたまらない絵本。
面倒見の良いおしゃまな女の子アナ。そして登場するアナのぬいるぐみたちが個性的でキュート!
赤い帽子のウサギのミミィ。なんだかよくわからない緑のもじゃもじゃ。ペンギンなのに飛べちゃう小さなペギー。オオカミかな、キツネかな、イヌのようにも見えるキー。器用に尾ヒレを使って歩くモフモフのおとなしいクジラのクック。そして、秘密がありそうなくまのころろん。
優しい色彩と意外にもマッチするコマ割りのスタイルで描かれているのも特徴的なこの絵本、キャラクターたちの小粋でお茶目な会話が愉快で、思わず笑ってしまうのです。アナと本当に仲良しのぬいぐるみたち、是非とも別のお話でも会いたいなと続編を期待してしまいます。
あぁ、この可愛さ、早く誰かに教えてあげたいなぁ。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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