初めて図書館に足を踏み入れた日を覚えていますか? ずらりと並ぶ本の背を見て、「うわあ、この世の中には、たくさん本があるんだな、全部読めるかな」とワクワクした気持ちになったのではないでしょうか。
文字が読めなかったキツネは、本も図書館の存在も知りませんでした。ある日、食べてやろうと追いかけていたネズミが図書館に逃げ込み、「この絵本、おもしろいよ」と教えてくれます。なんだかおもしろそう。キツネはそっと本のページを開いてみるのでした……。
本を通して、未知の世界と楽しみを知り、どんどん好奇心がふくらみ、次の興味へとつながっていく。最初は、「おもしろい本を教えて」と言っていたキツネが、自分で新しい本をあれこれ探すようになっていく。そんなキツネの姿は、本を読む純粋な喜びそのものを思い出させてくれます。
さらに読書を通して、キツネの内面の世界だけでなく、外側の世界にも変化が起きていくようすが素敵です。
キツネが文字を読めないということに対して、ネズミがどのようなアドバイスをしたかも、見どころのひとつ。図書館にはこんな機能やサービスもあるんだよ、って教えてもらえます。もちろん図書館を使うマナーも。
この絵本を読むと、夜ひっそり静まり返った図書館で、キツネやネズミと一緒に本を読みたくなってしまいます。
(光森優子 編集者・ライター)
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