お休みに出かけていたビリンちゃん一家が、ひさしぶりに家へ帰ってきて、その日の夜はおもちを食べることになりました。
お母さんに「なんこたべる?」と聞かれ、お父さんは4こ、お姉ちゃんは2こと答えます。
しかしビリンちゃんの答えはなんと……
「100こ、ビリンは100こたべるの!」
えっ、すごい。ビリンちゃんて、おもち大好きなんですね。
その日はおもちが足りなくて、おばあちゃんが送ってくれるまでおあずけ、となりましたが……。
翌朝起きてみると、お母さんがこんなことを言うんです。
「ビリン、よかったわね。けさはおもちがふっているから、あさごはんもおもちよ」
「え!?」
そりゃあビリンちゃんでなくても「え!?」と叫びたくなります!
大島妙子さんが描く絵には、たしかにおもちが雪のようにふっている風景が描かれています。
半纏姿で庭に飛び出し、あたたかくてもっちもちのおもちをたべるビリンちゃん。
いつのまにか家の池からはチョコレートのにおいがするし、ししおどしからは醤油が流れてきます。
近所の人たちも「あさからいいおもちがふりますねえ」「やっぱりふりたてのおもちがいちばんですわ」なんて、当然のようにおもしろい会話をしています。
おもちはふりつづき、おもちのハンモックやベッドやトランポリンも登場。
とうとう、もちがっせんに、大宴会。おもち、おもちのオンパレード。
もう、おもち好きにとっては夢のような絵本!
作者の平田明子さんは食いしん坊だそうですが、それも納得。
そして奇想天外な話も大島妙子さんの腕にかかると、リアルさとファンタジー感が絶妙!
本当にへんてこで最高の一日となって描かれます。
冬、おもちの季節になったらぜひ子どもたちに読んであげてください。
「おもちがふる」ことに、子どもたちが大盛り上がりすること間違いなし。
読み聞かせにも、一人でにやにやしながら楽しむのにもぴったりの絵本です。
あ〜、ますます、おもちが食べたくなっちゃいます!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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