「宝物にかかわった人たちの思いがきっと伝わる」
杉本一樹氏(宮内庁正倉院事務所長)
正倉院には、1250年も守り伝えられてきた、世界にほこる宝物があります。
正倉院の宝物を紹介する本はいろいろありますが、とくにこの本は、文章にふりがながついていますので、小学生低学年からでも読めると思います。紹介された一つひとつのお話をつなげて、現在までの正倉院の歴史をたどっていくと、それぞれの宝物にかかわった多くの人の思いもきっと伝わるのではないでしょうか。
実際に宝物を見たことがある人にはその思いをさらに深めてもらえると思います。まだ正倉院に来たことがない人には、この本を手に、ぜひ一度奈良に足を運んで宝物が伝えられた場所に立ってもらいたい、秋の展覧会で、本物のすばらしさを自分の目で確かめてもらいたい、と願っています。
正倉院の宝物は、今から約1250年前の奈良時代に納められました。そのなかには、世界中の珍しい材料と高度な技術が使われた美術・工芸品がたくさんあります。
これほど古い宝物が、倉にまとめられ、今なお美しいままの姿を見せてくれるのは、世界でも正倉院だけなのです。
これらはいったいどのようにつくられ、またどうやって長い間守り伝えられてきたのでしょうか。
これからその秘密を見ていきましょう。
[ここがポイント]
◎ 正倉院ゆかりの聖武天皇と光明皇后や、命をかけて海を渡った遣唐使たちなどかずかずのエピソードをまじえながら、写真やイラスト入りで宝物の知られざる謎をわかりやすく紹介。
◎ 漫画家の里中満智子氏によるエッセイや、雅楽奏者の東儀秀樹氏、東大寺関係者などへのインタビューを掲載。
◎ すべての漢字にふりがながあるので、小学生からたのしく読むことができ、 歴史などの「調べ学習」にも最適。
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