お隣さんのスプロケットおばさんはすごい!!
着ているコートにはポケットがいっぱい付いていて、そこから何だって出てきちゃうんだから。ねずみポケットからはねずみ。チーズポケットからはチーズ。他にもハンカチポケットや水着やタオル、麦わら帽子まで!いやいや、そんなもんじゃあないよ。不思議でワクワクするものがどんどん出てくるんだから。
ああ、スプロケットおばさん。本当に素敵。
全然ケチケチしない感じとか、細かい所にこだわらない大らかな感じとか、いたずら心もちゃんとあって。本当に必要かどうかなんて関係ない。
そういえば子どもの頃、たまにこんな風に子どもたちと心が通じあっちゃう大人がいたような気がします。何でも出てくるポケットは持っていなくても、何を聞いても答えてくれるような大人。今になってみれば、例えそれがちゃんとした答えじゃなくっても、不思議なことに、子どもたちの心をどんどん開いていってしまうんですよね。
もし自分が子どもだったとして、すぐそばにスプロケットおばさんがいたら何を出してもらうんだろう。絵本の中の子どもたちは考え込んじゃうことなんてなくて、次から次へと欲しがります。そして出してもらったものを使って大はしゃぎをしています。なんだかとても子どもらしい姿を見ている感じがして、幸せな気分になるのです。
クエンティン・ブレイクは、いつも「子どもたちにとっての豊かさとは何か」というのを、ちゃんと大人も交えて描いてくれているのです。
さあ、この絵本を読んでいる子どもたちも遠慮なんかしないで、スプロケットおばさんのポケットから何でもかんでも出してもらっちゃおう!!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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