あかちゃんうさぎと「たかい たかーい!」して遊びながら、パパがいいます。
「おおきくなったら このこは なにになるだろうね」
制服が似合う、しっかりしたおまわりさんになるかもしれない、とママはいいます。
だぼだぼの服をきて、子どもたちを笑わせるピエロになるかもしれない、とパパはいいます。
おにいちゃんは、馬にのったかっこいいカウボーイになるんじゃない?といいます。
おねえちゃんはパイロットに、大おばさんは消防士に、大おじさんは汽車の機関士に。
おじいちゃんはライオンつかいに、おばあちゃんは郵便やさんに・・・
みーんな、あかちゃんうさぎはおおきくなったら、そういうものになるんじゃないかしらといいます。
でもあかちゃんうさぎは、にこにこ笑って、もう何になるか決めているみたい。
さあ、あかちゃんうさぎは何になりたいと思っていたのでしょうか。
あかちゃんうさぎにとって、何よりもかっこよくたのもしく、「たかいたかーい!」や追いかけっこで遊んでくれて、夜はベッドに連れていってくれる、いっしょにいると楽しくて大好きなのは・・・?
「スキャリーおじさん」ことリチャード・スキャリーが絵を描き、妻パッツィ・スキャリーが文章を書いた1955年初版刊行作品、待望の初邦訳。
息子ハックに捧げられたこの絵本は、家族の幸福感にあふれた愛らしいお話もさることながら、リチャード・スキャリー初期絵本作品としてのみずみずしいタッチがすばらしい一冊です。
スキャリーファンも、そうでない方も、ぜひ一度手にとってみてください。
あかちゃんがうまれたとき誰もが思い浮かべる、くすぐったいような未来へのきもち。そしてあかちゃんがまわりの家族に愛されて育つしあわせを、しみじみと感じさせるあたたかい絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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