「ぼく、あれがいい」
たっちゃんは欲しかった黄色のながぐつをお父さんに買ってもらいます。
嬉しくてたまらないたっちゃんは、手にはいて逆立ちしたり、頭にのせておどったり。
寝るときには枕元にちゃんと並べておきます。
…ところがたっちゃん。
次の日、さっちゃんと砂場で一緒に遊んでいるうちに、片方なくしてしまうのです。
「ながぐつ かたっぽ なくなっちゃったの」
今度はお母さんに赤いながぐつを買ってもらうのですが。
ながぐつを買ってもらって無邪気に喜ぶたっちゃん、どろんこで思いっきり遊びまわるたっちゃん。
なくしちゃってしょんぼりするたっちゃん。だけどやっぱり見つかって得意顔のたっちゃん。
どの表情も、なんて生き生きして、なんて可愛らしいのでしょう。
こんな風に子どもたちの日常には、小さな事件がたくさん。本当に色々なドラマが起きるのです。
どこか懐かしい雰囲気があるのは、70年代に刊行された絵本の改訂新版だから。「こぐまちゃんえほん」シリーズの作者が、「こぐまちゃんえほん」を卒業したらこの絵本と創作された「たっちゃん さっちゃん」シリーズです。
何年経っても、子どもの豊かな感情表現の可愛さは変わりませんね。
「こぐまちゃんえほん」がちらっと登場するのも嬉しいポイントです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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