思い出を救うこと。それは、被災した方が生きていくための大きな力となる──被災した写真やそこに残った記憶を救う「写真洗浄」は、東日本大震災の被災地や、全国のボランティア団体などで進められました。
とくに岩手県大船渡市では、金野聡子さんがいたことに、大きな意味がありました。彼女は「紙本・書籍保存修復士」、そして「製本家」です。紙本とは、絵や文字が書きこまれた紙のこと。たとえば、図画、手紙、作文、賞状などです。書籍は、本のこと。保存は、これ以上傷まないよう、次の時代に残していける状態にすることで、修復はもとどおりの状態にもどすことです。
金野さんは、「紙本・書籍保存修復士」としてのプロ意識とともに、強い意志と使命感をもって、写真だけでなく、賞状や文書、古書の治療を続けています。
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