モグラのこんこんがみみずを追いかけていると、お母さんとはぐれてしまいました。
ほっ ほっ ほりほり
ほっ ほっ ほりほり
地面のなかをほりすすんでいると、おやおや、何かにぶつかって
「こん、こん、ぼくのおかあさん?」
けれどもそれは、まっしろなダイコン。
お空にうかぶ雲みたいにまっしろなダイコンでした。
そのとき、こんこんのお腹が「ぐぐぐぐうーぅ……」。
お腹がすいたこんこんに、ダイコンさんは自分をかじらせてくれました。
こんこんは、お母さんをさがして、なおも地面をほり進みます。
なが〜いゴボウさん、にぎやかなジャガイモ姉妹、太陽みたいにあたたかい色のニンジンさん。
土のなかのやさいにつきあたるたび、ひとくちずつかじらせてもらったおかげで、こんこんはおなかいっぱい。
なんだかねむくなったみたい……。
ん? だれかがこんこんをつついています。
だれかしら?
ちいさなモグラがお母さんを探して、地中を進むほのぼのしたお話。
文章はNHK教育番組のアートディレクションをつとめ、映画や絵本へ活動の場を広げる、とみながまいさん。
絵は『パンやのコナコナ』などで、あたたかい土や作物の実りを描かれるにきまゆさん。
雲も太陽も見たことはないけれど、そのかわり土のなかの「雲」や「太陽」をあじわったこんこんの感動が描かれます。
たくさんの「やさしいやさい」に会ったこんこん。
みなさんもきっと、色やあじを想像したくなりますよ。
地中の化石や埴輪、楽しそうに暮らすアリたちなど、こまやかな絵も見どころです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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