主人公は運動がとても苦手な一年生の男の子、いちろう。
いちろうは体育が大嫌い。いつも体育の時間が近づくと、なんとか休めないか、雨がふって中止にならないか、念じています。だけど、さすがにお天気を自由に変えるなんて無理。
……ところが、ある夜。いちろうの夢に、マントを着た不思議な女の子が出てきてこう言うのです。
「わたし、まじょの女の子なの。なにか、わたしに してもらいたいことは ない?」
いちろうは、すぐに答えます。
「あした、雨がふると いいんだけどなあ」
すると、その子はいちろうに、赤いかさを渡します。それが「まほうのかさ」だと言うのです。
広げると雨がふりはじめて、とじるとすぐに雨がやむ、魔法のかさ。
本当にそんなことできるの?
そもそも、これは夢じゃないの?
だけど朝、玄関には本当にその赤いかさがささっていて……。
物語の展開は、魔法のように軽やかに・・・とはいかず、事態は2転3転していきます。
魔女だって、さらりと夢を叶えられるわけじゃないようです。
健気に運動場を駆け回る彼女は、なんだか必死で、凛々しくて、でもとってもチャーミングで。
やりとげた姿を見ていると、悩んでいたことがなんだかちっぽけな気がしてきて。
日常の中の、ちょっと不思議な出来事。
はたさんの描く、躍動感あふれる印象的な場面の数々とともにお楽しみください!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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