かわいいピンクまじりの雪景色のなか、あかりが漏れる「かまくら」のなかで、おばあさんがお鍋をかき混ぜています。
お鍋からはあたたかそうな湯気がたちのぼっています。
中身はなにかしら?
ここは、おばあさんのかまくらレストラン。
雪のふる、冬の間だけあいているのです。
お米の粉をねってまるめてお団子づくり。
ころころ、ころころ。
あずきはやわらかくなるまで、ゆっくりゆがきます。
ことこと、ことこと。
ああ、おいしそう。
道に迷った旅人も、冬眠中に目が覚めちゃったくまの子も。
あまいおしるこをたべたら、ぽかぽか体があたたかくなるんです。
もちろん、人間の子どもたちもやってきますよ。
雪がっせんでたっぷり遊んだあとは……
みんなで、ぽっかぽかのおしるこ!
こんなレストラン、あったらいいのになあ……。
「もったいないばあさん」シリーズで大人気の真珠まりこさんの作品ですが、かまくらレストランのおばあさんのふんわりした可愛らしさといったら、ぜんぜんちがいます!
けれど、火鉢、竹ざる、竹かご、木杓子などのなつかしい道具が出てくるのは似ているかもしれませんね。
テーブルには、緑茶と急須や、柿も描かれ、おばあさんのあったかいおもてなしを受けている気分になってしまいます。
かまくらのまわりの空や雪面の色があざやかに変わっていくのがとてもきれいです。
透明感のある幻想的な色あいと、ほのぼのするおはなしをあじわってくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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