すっぱりめがね。
とても気になる語感です。すっぱり? めがね?
ぼくの持っている不思議なめがねは「すっぱりめがね」。
このめがねをかけてのぞくと、なんでもすっぱり。
「すっぱり」とは?
……なんと、中身が見えてしまうのです。
のぞいた物は、みんな断面図として見えてしまうのです!!
この絵本では、その「すっぱりめがね」でのぞいた身の回りの中身を見せてくれます。おにぎり、ラーメン、腕時計からピアノ、車まで。次々に登場する断面の絵、それはそれは緻密です。なにしろ「すっぱり」切られている訳ですから、その切れ味の鋭さも見事なのです。ラーメンの断面図なんて考えた事もなかったですし、サッカーボールと野球ボールの違いも面白い。でもやっぱり、圧倒されるのはピアノと車。子どもの頃に読んでいたら、何時間でも眺めていたことでしょう。
そうなってくると、なんでも「すっぱり」したくなるのが読者の心情です。サービス満点なぼくは、自分の住んでいるおうちだってすっぱりと見せてくれますよ。のぞき見している様な気分になってきちゃいますね。
ありそうでなかった「すっぱり絵本」。小さな子もページをめくるだけで、その意味は伝わるはず。大人だって…すでに好奇心が止まりません。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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