病気のおばあちゃんのお見舞いに行くことになったあかずきんちゃん。
道すがら出会ったずる賢いオオカミは、先回りしておばあちゃんをペロリ。
さらにおばあちゃんのフリをして、ベッドの中であかずきんちゃんを待ち受けるのです。
「どうしておばあちゃまのお口はそんなに大きいの?」
「おまえをひとのみにするためさ!」
恐ろしい声で叫んだ途端、あかずきんちゃんに飛びかかる!のですが・・・。
誰もが一度は出会ったことがある「あかずきん」をはじめ、世界中で読み継がれているおなじみの童話や民話などの昔ばなしを、アメリカの絵本作家リチャード・スキャリーがまとめた作品集。
「おおかみと7ひきのこやぎ」「三びきのやぎのがらがらどん」「さんびきのくま」・・・。
どのお話も手に汗握る展開に子ども心にドキドキハラハラするはず、なのですが。
なぜかこの絵本、最後はクスッと笑いで終わってしまうのは・・・きっと私だけじゃないでしょう?
それもそのはず。
この童話に出てくる登場人物はみんな、スキャリーが描く人気の動物たち。
「しょうがパンぼうや」を追い掛け回すブタやウサギ、クマたちのドタバタ劇はもうコメディ。
歯をむき出しに吠えているのに、とぼけたリアクションがなんだか憎めない「3びきのこぶた」のオオカミ。
ねずみの「ちょこちょこおばさん」のちょこちょこした身のこなしがかわい過ぎて、もう「ちょこちょこ ちょこっと」心くすぐられちゃうんです。
ちょっと怖かったり緊張したりする原作の世界も、スキャリーの手にかかればユーモアと楽しさあふれるおはなしに早変わり。
なじみ深い童話が不思議とシュールさをかもし出しているのも、大人にとっては絶妙な魅力かも。
スキャリー作品の持ち味をそのままに、テンポよくウィットを利かせて訳されたふしみみさをさんの文章も、この絵本への愛着をいっそう深めてくれるのだと思います。
本棚のスキャリーコレクションに、ぜひ仲間入りさせてほしい一冊です。
(竹原雅子 絵本ナビ編集部)
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