ここにひらがなの言葉があります。
こいぬまでおよいでる
しょうじきにいったよ
さて、一体どう読んだらいいのでしょう。
「コイ、沼でおよいでる」それとも
「子犬までおよいでる」
「正直にいったよ」それより
「障子、気に入ったよ」でしょうか。
そうです。もちろん、どちらも正解ですよね。同じ文章なのに、読み方や区切る位置をかえるだけで全く異なる意味になってしまう、日本語って面白い!
この絵本は、そんな言葉のセットがなんと58種類も登場し、その違う意味の同じ言葉を全て使って物語を作っているのです。しかも、それぞれの登場人物が繰り広げる小さな物語が、織り込まれ、一つの大きな物語になっていくという、まさに「うまい!」とひざをたたいてしまうくらい絶妙な作りになっているのです。
登場人物は、お寺の和尚さん、小僧さん、猫、子猫、ワニ、花屋のおばあさんにその孫、そしてその他大勢の可愛らしい生き物たち。さてどんな物語に?
日本語の奥深さ、面白さを十分に引き出し、わたしたちを笑わせてくれるのは、詩人の林木林さん。絶妙な言葉の波乗りで見事な物語の世界へと導いてくれるのは、構成と絵を担当されてる山村浩二さん。お二人の世界観がぴたりとはまった最高に楽しい言葉の絵本。読み終わったあとには、必ず同じ言葉をさがして自慢したくなりますよ。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
続きを読む