みどりがいけに住んでいるのは、歌の上手なかえるのおとうさん、かえるとび名人のおかあさん。
そしてかわいいおたまじゃくしの子どもたち。
あれれ、いっぴきだけなんだかすごく大きなおたまじゃくしがいるようだけど・・・?
それがこの絵本の主人公の女の子「ねーねー」です。
ねーねーは小さないもうとたちに慕われて、おとうさんやおかあさんには「さぞかしりっぱなかえるになるだろう」と期待され、とても幸せに暮らしていました。
ところが夏がきて、みんながかえるになっても、ねーねーの姿は変わりません。どんどん大きくなるけれど、みんなと同じことができるようにはならないのです。それどころか、家にも入れなくなるし、うっかりあくびをすればみんなを吸い込んでしまいそうになるし。
心配になったおとうさんとおかあさんは、ねーねーをお医者さんに連れて行き、しっぽを切ろうということに。
それはさすがにこわい!!
ねーねーはそっとみどりがいけを出て行き、川をのぼっていきます。そこで出会ったのは・・・。
家族の中でひとり大きなねーねー。見ていると不安がつのります。
「どうしてこんなことになっちゃったの?」「違う場所から迷い込んできちゃったのかな」
でも、おとうさんもおかあさんも、ねーねーに優しく大切に接します。
だからこそ、ねーねーは自分の本当の居場所を一人で探しに出かけるのです。
そこで出会った素敵な出会いを、家族みんなにちゃんと報告するためにね。
大きくて真っ赤な体がとってもチャーミングなねーねー、そして水の音が聞こえてきそうな透き通ったきれいな川の中、そしてねーねーを見守るまわりの優しい眼差し。
どの場面を見ていても、とてもあたたかな気持ちになれる絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む