「いやだー。たべないで!」
ぽっかぽっかのいい天気、いつものように「もしかして」のうたをうたいながらごきげんに散歩するにょろくんに突然起こった災難!なんとヘビが大好物だというヘビクイワシにつかまってしまったのです。
♪もしかして もしかして
ぼくは せかい一の ヘビかもね
もしかして もしかして
ぼくは せかい一 つよいかもね
とさっきまで歌っていた歌もむなしく、にょろくんの足はヘビクイワシにがっしり踏まれ、どんなにあばれても、全く逃げられません。焦るにょろくんを前に、ヘビクイワシは、にょろくんの頭をなでたり、よだれをたらしたり、嬉しそうにからかうばかり。
しかし、そんな絶体絶命の状況でも、にょろくんはあきらめません。足を踏まれたまま前に思いっきり逃げようとします。びょ〜ん。びょ〜ん。びょ〜ん。うどんのようにのびてしまいました。それでも前に、びょ〜ん。びょ〜〜ん。びょ〜〜〜ん。ついには、そうめんのようにまで。そこに急遽現われた助けの手。仲間のリスさんとバッタのおじいさんです。二匹とも危険をかえりみず、にょろくんのために果敢にヘビクイワシに立ち向かいます。さて、二匹とにょろくんの運命やいかに?そして、にょろくんが思いっきり体をつっぱった瞬間、にょろくんの身に起こった異変とは?もしかしてぼくは!?
食うか食われるか、の緊迫した状況が描かれながらも、なんだかとってもおかしいのは、作者の内田麟太郎さんらしいダジャレがきいているから。「いたいっ、はなしてー。」「なんのはなしがいいのかな?」といったやりとりや、ピンチの瞬間にも「バッタがばったり」と冗談を言うバッタのおじいさん。楽しいダジャレとともに、リズミカルにテンポ良くお話が展開していきます。また、目が飛び出しちゃったり、体がどんどん伸びていくにょろくんの姿や、にまにま笑うヘビクイワシの表情など、太い線でユーモラスに描かれる早川純子さんのイラストにも注目です。とっても愉快で楽しいこちらのお話は、絵本から読み物への橋渡しにぴったり。2013年1月から新しく刊行になった幼年童話シリーズ「おはなしのくに」の5冊目のお話です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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