日本人であれば、だれもが接する「あいうえお」。絵本にもひらがなを扱った作品は数多く存在します。あいうえお絵本で描かれるものといえば、「あ」なら「あめ」「あり」。「い」なら「いぬ」「いす」などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし、この絵本で登場するのは、「あかい あり」「いじわるな いぬ」「うれしい うさぎ」「えらい えい」……。そう、なんともふしぎな生き物たちなのです。
この絵本の絵を担当したのはアメリカ人のサイラス・ハイスミスさん。サイラスさんはタイプデザインの仕事を中心に、アーティストとして世界を舞台に活動を続けるデザイナーです。元々日本のアニメーションが好きで、日本語にも興味を持っていたというサイラスさん。国際的な美術展や文化イベントのプロデュースも行う、翻訳家のさこむらひろこさんの文章を、独特のセンスを元に、絵を描き上げます。
「ていねいな てぃらのさうるす」「つめたい つる」「やくにたつ やまあらし」……。言葉だけでは、分からなくても、絵を見るとふしぎと納得してしまう、ジワジワと面白さが広がっていく作品です。ぜひ、「丁寧なティラノサウルスって、どんな恐竜だと思う?」「ヤマアラシは何の役に立つのかなぁ?」など、親子でいろいろ話しながら、想像力を膨らませて楽しんでみてください。
サイラスさんとさこむらさんがタッグを組んだ1冊目『APPLE BEAR CAT』と3冊目『1こ2ほん3びき』もオススメです。
(木村春子 絵本ナビ編集部)
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