独特の色合いがあざやかな、フランスの絵本作家、レミ・クルジョンの絵本。
うさぎのリトルは、学校がおわると、毎日ひいおじいさんのホープの家に走っていきます。
ホープじいさんは顔がしわくちゃ、腰がまがって、畑仕事のあいだもあまりしゃべりません。
でも、リトルは畑をよく手伝って、ひいおじいさんからいろんなことをおそわりました。
ある日、リトルはたずねました。「ひいおじいちゃんって、どうしてそんなにとしよりなの?」
ホープじいさんは、自分が子どもの頃にとても足が速かった話、でも時間のほうがもっと速かった話……。
そしてかつて誕生日に何が欲しいかを聞かれて『じゅみょうを3日よぶんにもらえたらなあ』と答えた話をします。
みんなが3日ずつ長生きするよう願ってくれたおかげでこんなに年寄りになったのだと。
そして、もうみんなに、3日ずつ長生きするように願うのはやめてくれと言います。
次の誕生日は本やCDやDVDがいいと。
ホープじいさんの誕生日、大きなキャベツのケーキにたくさんのろうそくが立てられ、プレゼントの本やCDや映画のDVDが山のようになりました。
リトルは本棚を大きくするのを手伝いました。
リトルは少しずつ大きくなり、ホープじいさんは少しずつ弱っていきました……。
「おじいちゃんって、どうしてそんなにとしよりなの?」
子どもの誰もが一度は口にしたくなる質問ですよね。
子どもは育ち、あたらしいいのちは生まれ、年老いた者は弱っていく。
そんな当たり前の事だけれど、人生は最後の一瞬までその人のものであることを教えてくれる絵本はそんなにたくさんはありません。
ニンジンやキャベツがあちこちでおおらかに育っていたホープじいさんの畑は、リトルが世話をするようになり、アイディアが活かされた畑になっていきます。
絵、文ともに、独特の味わい深さは、ぜひ実際に手にとって、いろんな年代の方に体験してほしい絵本です。
「リトルには、ホープじいさんのおもいがわかっていた」
亡くなったあともつづいていく、ひいおじいさんとひ孫の関係が印象深い一冊です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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