冒険活劇絵本「くろずみ小太郎旅日記」シリーズ。数ある飯野和好さんの絵本の中でも、主人公のインパクトの強さは3本の指に入るのではないでしょうか。何しろ、くろずみ小太郎は炭です。炭ですが、忍術を身につけた立派な忍者なのです。そんな彼が続ける旅の道中で出会うのは、これまた奇怪なもののけばかり。さて、8話目となる今回待ち受けているものとは・・・?
忍術修行で諸国を旅するくろずみ小太郎、奥州のとある山道をのぼっていると、なぜかあちこちの岩や木々の間がぬるぬる、べとべとと光っています。そこに妖しい気配とともにあらわれたのは、ずらりきのこたち!なかでも一際目立つ、きぬがさたけのきぬこさんが言うのです。
「この山奥の洞穴にもののけのような大なめくじが住みはじめ、私たちをおそっては食べ、おそってはとかしてしまうのです。このままでは山を荒らされてしまいます。どうか助けてください。」
山にとって大切なきのこたちの訴え、くろずみ小太郎はその願いを受けて立つことにします。
「山を荒らすもののけなめくじ、ゆるさぬぞ!」
「ぬるぅーなにものだー」
いったい大なめくじとはどんな姿をしているのでしょう。
小太郎はどんな忍術で立ち向かって行くのでしょう。
今回も豪快で大胆な技が飛び出します。それは読んでのお楽しみ!
それにしても胸おどるのは、神々しさと愛嬌を併せ持ったそのきのこたちの姿です。
むらさきしめじにきぬがさたけ、なめこにつちぐり・・・(あとは自分で調べてね)。
秩父の山里に生まれた飯野さん、秋の楽しみのひとつと言えばきのこ採りだったそうです。美味しく食べられるものもあれば、毒きのこもあります。そんなきのこたちもなめくじに食べられてしまうそうで・・・。読み終わったら、きのこ図鑑をひっぱり出してみるのも楽しみのひとつですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む