にっこりじまの森の奥から聞こえてきたのは、「おなかが いたいよう」という大きな声。
涙をぽろぽろ流して泣いていたのは、ピンクの大きな恐竜くんでした。
動物たちがいそいで救急車をよぶと、
「みちを あけてください!」とびゅーんとあらわれたのは……
きゅうきゅうしゃ?
いいえ、「ちゅうちゅうしゃ」。
ねずみの車ですって。
たしかに白い車体にやわらかそうなお耳もついています。
中からおりてきたのはねずみたち。
「ちゅうちゅうたい、とうちゃくしました!」
きりっと敬礼。かっこいい!
でもね……小さいんです。この車も、ねずみたちも。
だいじょうぶかな……。
フェルトや布、ビーズ、綿などでつくられた動物たちは、ぬくもりたっぷり。
凹凸感のあるかわいい絵柄、ほっこりするストーリーに癒されます。
作者は「*すまいるママ*」さん。
何冊も絵本を出版している作家さんですが、なんと、実生活では3児の「パパ」なのだそうです!
動物たちのちょっとした眉の表情や、口元、しっぽや頭の毛など、ステッチでこまやかに表現されていることに感動しちゃいます。
大きな恐竜くんを、ライオン、ワニ、キリンやゾウたちが助けてあげられず困っていると、小さなちゅうちゅうたいが颯爽とあらわれて助けてくれる!
小さくてもちゃんと立派なお仕事ができるんですよね。
幼い子が勇気をもらえる、愛らしい絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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