きょうは、年に一度の“うまいもんコンテスト”の日。
こちらのお店は、朝から大にぎわい。店の名は「はごろもや」。
「はごろもや」はおいしい服屋さん。
おいしくなりたいたべものたちがやってくるそうですが……いったいどんなお店なのでしょうか?
表紙には羽衣を羽織った天女のような顔の女の人、はごろもさんがほほえんでいます。
まずやってきたのはむきえびさん。
「わたしのふくはできているかしら。」
はごろもさんに案内され、試着室で天ぷらごろもを身につけて
「うふふ、どうかしら。」
なんと立派な天ぷらえびさんに変身!
なーるほど、と思わず大人もうなる展開。
たしかに「ころも」って「服」という意味ですものね。
よく見ると、店内には餃子や春巻きの皮、柏の葉や桜の葉、薄焼き卵までハンガーにつるされて、おいしそうな「ころも」がいっぱい。「かんぴょうベルト」に「かんぴょうリボン」まで!
魚の形のミニ容器には「じゆうにおつめください」とあり、醤油やソースの充実ぶりにも目を見張ります。
店内の絵をすみずみまで見るのが楽しい!
もちろんこのお話、絵を楽しむだけではありません。
最初のお客、天ぷらえびさんが、もう一度お店に駆け込んできて「これじゃうまいもんコンテストでゆうしょうできないわ。」「なんとかしてー!」と叫ぶところから新展開。
同じく、おむすびくんも駆け込んできますが、さぁ、はごろもさんはどうするのでしょうか!?
はごろもさんの表情がぐっと有能な店員さんらしく引き締まり、にっこりした顔、ほっとした顔、目まぐるしく変わります。
のぞいてみたくなる「おいしいふくや はごろもや」。
発想が楽しいたべもの絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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