ぼくが道の途中で出会ったのは、持ちきれないほどの大きな赤いぼーる。ぎゅっとつかんだまま、おかあさんの自転車のうしろに乗っていたら、坂道をくだる勢いで、ぼくごと……飛んだ!
そしたらね、空に浮かんだぼくにぼーるが話しかけてきたの。
「くもと あそんでゆこう!」
ホワホワモコモコまっしろなくもたちに、赤いぼーるはよく似合う。
おおきなしろうさぎの目になったり、ショートケーキのいちごになったり。野球遊びだってできちゃうよ。さんかくのくもには、ぼくとぼーるでおにぎり!
ところが、あまりに美味しそうな出来上がりに、くいしんぼうのおおざるくもが追いかけて来た!?ふわりふわりのぼくとぼーる、ちゃんと逃げられたのでしょうか。
クレヨン画家・加藤休ミさん、最新作の舞台は空の上。柔らかそうだけど厚みのある真っ白な雲の表現が、意外な程しっくりきていてます。子どもらしい豪快さとのびやかさ。なおかつやっぱり美味しそうなところが期待を裏切りません。
さて、思いっきり飛びまわった後には自転車の後ろの席にもとどおり。いつのまにかぼーるもちょうどいい大きさになって。これからはふたりで遊びます。おかあさんの知らない、ぼくとぼーるの特別な時間。いいね、いいね。そんな体験をしている息子の姿は、例え絵本でしか見ることができなくっても嬉しいものですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む