フェリシモ出版の「おはなしたからばこ」シリーズ第6弾は、桂米朝さんの「天狗さばき」をたじまゆきひこさんがユーモアたっぷりの落語絵本に仕上げた『へんなゆめ』です。
眠っているときに見る夢。
一説には、人は睡眠時、深い眠りと浅い眠りを繰り返していて、浅い眠りのときに夢を見るのだそうです。でも、目が覚めたとき、夢の内容を覚えていないことも多いですよね。
これは、ある男が見た、夢に関するふしぎなおはなし。
奥さんの前で居眠りをしていた旦那さん。目覚めたら奥さんに「あんた どんなゆめ みたん。」と聞かれます。「ゆめなんか みてへんで」と答えたら、「わたしに いえんような ゆめ みたんか。」と奥さん大激怒。さらに、夫婦ゲンカの仲裁に入った隣人のとくさんにも夢の内容を聞かれ、「ゆめは みてへんねん。」と答えたら、「それでもともだちか。こいつ!」とケンカになり、仲裁に入った家主さんにも「いえぬしの わしにも いえんのか。」と家を追い出されそうになり、とうとう裁判沙汰に……。
はたして、旦那さんは夢を見たのか、見ていないのか……。どこからが夢で、どこからが現実だったのか……と、読み終わった後にとてもふしぎな感覚に陥る作品です。でも、その訳の分からないふしぎな感覚がどこか心地よく、2度3度と繰り返し読みたくなる、中毒性もこの絵本の魅力です。
(木村春子 絵本ナビ編集部)
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