「化石ハントの天才」として名を残したバーナム・ブラウン。
彼が世界最大級の恐竜・ティラノサウルスの化石を発見するまでの人生を描いたノンフィクション絵本です。
「ゆくゆくは、ずばぬけて立派なことをして、みんなをびっくりさせるんだよ」。
今からおよそ140年前のアメリカカンザス州、両親の夢を一身に受けて生まれたバーナム。
父親の畑からサンゴや貝の化石を掘り出すのが得意だった少年時代、太古の地球へと思いをはせながら、いつか恐竜の化石をこの手で発掘するのだと夢を繋いでいきます。
普通の人にとっては難行苦行でしかない化石ハントの仕事が、バーナムには面白くてたまらなかったというのですから只者ではありません。
絶滅した魚や哺乳動物、植物、恐竜とあらゆる化石を次々と発見し、ハンターとして名を上げ順風満帆な道を歩む彼の人生を大きく変えた出来事。
それが、かつて見た事のない巨大な恐竜の骨との遭遇・・・世界最大級の恐竜といわれるティラノサウルスとの出会いだったのです。
バラバラの骨を組み合わせる作業は、巨大なジグソーパズルのピース合わせをしているように終わりがない。
全身日に焼かれ、蚊に刺されながらの発掘現場、それでも彼はあきらめない。
気の遠くなるような長い年月が続いても、彼を突き動かしてやまないもの。
どんな姿だった?何を食べていた?どのような歩き方をした?
未知なる生き物への純粋な探究心だけがその原動力になっていたというエピソードには、
恐竜好きの男の子のみならず多くの子どもたちが、そして大人でさえも感動をもらうのではないでしょうか。
発掘現場に毛皮のコート、スーツにネクタイ、山高帽子というずば抜けたおしゃれスタイルで挑む姿。
ティラノサウルスを発見した日は、喜びのあまり華麗なダンスを夜通し披露したという無邪気な素顔。
一風変わっているけれど、その人柄はどこかチャーミングで魅力的。
この絵本を読んだ後に博物館や図鑑でティラノサウルスの骨を見かけたら、きっと思い出すでしょう。
6600万年前の恐竜を私たちの元に連れて来てくれた、天才化石ハント、バーナム・ブラウンのことを。
(竹原雅子 絵本ナビ編集部)
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