自分がなくした赤いマフラー。
もし、誰かがそれをひろって大切に使っていたとしたら・・・?
そして、その誰かがちいさなちいさな小人の姿をした
妖精トムテだったらどうでしょう。
主人公のわたしは、小さい時にドライブの途中でマフラーをなくしてしまいました。
お気に入りの赤いマフラーを車の窓からあやまって飛ばしてしまったのです。
ずっと気になっていたそのマフラーを偶然に手にしたのは
白いひげに赤い三角帽子をかぶった小さなトムテでした。
トムテはとても実用的で、役に立つものを大事に使います。
大きな便利な赤い布(私たちにとってはマフラーなのですが)。
一体、トムテはどんな使い方をするのでしょうか。
この素敵な絵本は、北欧の国、スウェーデンから届きました。
お話は、レーナ・アッロさん。絵は、カタリーナ・クルースヴァルさん。
お二人ともスウェーデン生まれ。
翻訳された菱木晃子さんのあとがきによると、スウェーデンでは、クリスマスになると
トムテのために、一年の感謝の気持ちをこめて、ボウルに入れたおかゆを
台所のすみや納屋の入口においておくという習慣がのこっているのだそうですよ。
自分のなくしたものがこんなに慎ましく丁寧に使われていたらと考えるだけで
なんだかちょっと幸せな気持ちになりますね!
寒い冬に読んでみてください。きっと近くにトムテの気配を感じるかもしれません。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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