やぎのさくらちゃんとショコラちゃんが一緒に暮らしているのは、おかしな目をしたおじいさん。人間です。
くろ目が横にねそべっているふたりからしたら、丸くて堂々とした黒目のおじいさんの目はへんてこりんですね。
ある日おじいさんが大きなくしゃみをすると、目玉が飛び出して、どこかにぴゅーん!?
「さくらに、ショコラや。わしの目玉を探してきてくれ。」
「ふうん、いいよ」
読者の衝撃をよそに、さくらちゃんとショコラちゃんは、目玉を探す旅に出発です。
おじいさんにそっくりな丸い目玉。でも、エメラルドグリーンの海の色だったり、真っ黒な強い色だったり。まばたきをしないのは魚の目玉、ちょっと気持ち悪いタコの目玉。目玉を通して次々と広い世界に出会うさくらちゃんとショコラちゃん。行く先々でおじいさんに手紙を書きます。
そんなある日、たどり着いたのはなんだか私たちも見覚えのある「あの街」で・・・。
目玉をめぐる大冒険をするさくらとショコラは、東京・渋谷桜ヶ丘町にある桜ヶ丘カフェに実在している看板ヤギなのです。『きいろいゾウ』の映画化も話題となっている小説家の西加奈子さんが都会でのんびり暮らすふたりをモデルに書き下ろしたこの作品。
ほのぼのとしているけど、切れ味のある文章とパンチの効いた絵。そして予測もつかないお話の展開。
知らないものをまじまじと観察して、美味しそうなものがあればよだれをたらし、ぱくっと食べる。そんな、さくらとショコラのような感覚になってこの絵本を読んでみれば、こんな気持ちになれるはず!?
「なんか、よかったね。」
不思議でちょっとおかしな世界、体験してみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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