
「ピカッ ゴロゴロゴロ……」 雷が鳴り響く嵐の夜。怖くなった男の子は、おじいちゃんのひざへ飛びのります。 するとおじいちゃんは、静かに語りはじめました。
「わしが、おまえぐらいの年のころ、あらしの中で森にまいごになったことがあった……」
そこから始まったのは、おじいちゃんのとっておきの怖い体験談。
古い小屋にひそんでいたガイコツの話 ― 「ふくろの中の古いほね」 魔女の洞窟に迷い込んだ話 ― 「イボのまじょのどうくつ」 突然あらわれた大きな手に連れていかれたのは? ― 「おそろしいおばけの家」
次々と語られるお話はつながっていて、怖さもどんどん増していきます。 怖い話になるからもうやめようか、と言うおじいちゃんに、男の子は「もっと、もっと!」とせがみ……。 でもおじいちゃん、これって本当にあったお話?
著者のジェームズ・フローラさんは、1940年代から80年代にかけて活躍したアメリカの作家。20冊もの絵本を残しましたが、日本語に訳されたのは本作が初めてとのこと。翻訳を手がけた小宮由さんの言葉は声にのせやすく、読み聞かせにもぴったり。「ものすごくくさいにおい」「毛むくじゃらクンクン」といった表現や、ガイコツや魔女のセリフに思わず笑ってしまう場面もあります。
本書の最後に紹介される解説によれば、ジェームズ・フローラさんは絵を描いてから物語を想像してテキストをつけていくという手法で絵本を作っていたとのこと。登場するのはガイコツや魔女、幽霊にクモやオオカミ……。怖ろしい存在ばかりですが、挿絵にはユーモアがたっぷり感じられて、年長さんぐらいから楽しめるでしょう。それこそ、次はどうなるの? と、この本の男の子のように続きをせがまれるのではないでしょうか。
個人的には、突然あらわれる「ただの手」が嵐の中を飛んでいく場面や、ゆうれいと一緒に見るテレビ番組の内容にクスリとさせられました。
お話が持つ力を存分に感じられるような、怖さいっぱい、楽しさいっぱいの一冊。怖い話は、ひとりで読むよりも、だれかに語ってもらうことでいっそう面白さが増します。安心できる語り手がそばにいることで、子どもたちも安心して物語に引き込まれていくことでしょう。 ぜひ親子で一緒に読んで、それぞれにお気に入りの場面を見つけてみてくださいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)

雷の鳴る夜、おじいちゃんが話しはじめたのはガイコツが出てくる怖いお話。怖い、でも続きが聞きたい。先がどんどん気になっておじいちゃんのお話を聞きます。すると、魔女やゆうれいまで登場して…。 おじいちゃん、もしかしてこれって本当にあったお話?

おじいちゃんのほら話
おじいちゃんのでたらめなほら話(本当はそう思いたい)ですが、聴き入ってしまうと、虜になってしまいました。
どうして次から次へとデタラメが広がるのでしょう。
そのデタラメさに合わせたような絵に、この絵本の魔法を感じました。
こわいお話ですが、笑えるお話です。
それにしても、おじいちゃんが持っている骨は、何の骨でしょうか。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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