クネクネさんのいちにち きょうはパーティーのひ クネクネさんのいちにち きょうはパーティーのひ
文・絵: 樋勝 朋巳  出版社: 福音館書店 福音館書店の特集ページがあります!
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ジュニアポエムシリーズ『まぜごはん』内田麟太郎さんインタビュー

「おれたちともだち」シリーズ(偕成社)、『がたごとがたごと』(童心社)など、絵本作家として、わたしたちになじみ深い作品を数多く書いている内田麟太郎さん。じつは詩人でもあることは、あまり知られていないのではないでしょうか。今年発売された5冊目の少年詩集『まぜごはん』(銀の鈴社)についてうかがいながら「詩人・内田麟太郎」にせまります。同時に、長新太さんとのエピソードをはじめ、絵本制作秘話もたっぷり語っていただいています!

まぜごはん
まぜごはんの試し読みができます!
詩集:内田 麟太郎
画家:長野 ヒデ子
出版社:銀の鈴社

 五冊目の少年詩集です。  テーマはありません。その日その日の気分で書いたものばかりです。だから詩集の名前は『まぜごはん』にしました。  竹の子ご飯が好きです。油揚げにかしわが入っていたら、かならずお代わりします。  グリンピースのまぜごはんも大好きです。薩摩焼の黒い茶碗で頂きます。白いお米とグリーンのお豆がぐっと引き立ちます。おいしそう。 ーあとがきより抜粋ー

『さかさまライオン』から、“少年詩を書く内田麟太郎”へ

───詩人・内田麟太郎さんにお話をうかがいます。はじめまして!


絵本ナビはいつも見ていますよ。絵本についていえば「内田麟太郎・作」というのは、わたしにはすこし違和感があるのね。絵本は、絵と文章と両方あわさって「作」ですから。だからなるべく絵本を出版するときは、「文」にしてもらっているんです。たとえば『がたごとがたごと』は「内田麟太郎・文、西村繁男・絵」で、ふたりによってつくられた『がたごとがたごと』が「作」だと思っているんですけどね。絵本は本来、絵と文が両方あって成り立つものですから。

わたしの最初の絵本『さかさまライオン』(童心社)は、長新太さんが絵を描いてくださいました。絵本には絵本の言葉があるんだ、絵とひとつになったときにはじめて生きる言葉でなくちゃいけないんだと、教えてくれたのは長新太さんです。
『さかさまライオン』は、もとは原稿用紙25枚の童話でしたので、絵本にするため短くすることになりました。ところが、はじめてだからどうやって縮めたらいいかわからない。場面を割って、20行のところを13行にとか、ただ短くするだけの仕事をしたんです。そのときに長さんとのやりとりで気づかされたのが、さっきのようなことです。
もうひとつ長さんに言われたのは、内田さんは詩人だから詩のような文体で書いたらいいんじゃないですか、と。だけど、書いても書いても通らない。どうしたらいいだろうかとずいぶん悩みました。

───そういう意味では、詩は100%「内田麟太郎・作」ですね。内田さんは絵本を書くずっと前から、詩を書いていらしたんですか?

はい。わたしは福岡県大牟田市の、炭坑の街で育ったんですが、うちのおやじが詩人でした。内田博という名で詩集を出しています。だからというわけじゃないんですが、わたしは絵と詩が好きで、どちらかでやっていきたいと思っていました。
わたしは6歳のときに実母が亡くなり、一年後にきた継母から冷たくあつかわれつづけて育ちました。こらえきれずに19歳(1960年)の春に上京して、看板屋の仕事をしながら、ほそぼそと現代詩を書き続けていました。そのときの詩は29歳で出した最初の詩集『これでいいへら』(潮流詩社)にまとまっています。第二詩集は『あかるい黄粉餅』(石風社)、第三詩集は『なまこ饅頭』(無極堂)。タイトルにまったく意味はありません。
あるとき二日酔いで看板を描いていて、ハシゴごと倒れ大けがをしたことをきかっけに、「子どもの本を書こう」と決心しました。37歳の暮れです。その後、出版社に送ったのが『さかさまライオン』です。
『さかさまライオン』はありがたいことに絵本にっぽん大賞を受賞し、絵本の仕事がつづきました。でも・・・60歳近くなったとき、急に体力の衰えを感じる瞬間がありました。「いつか童話や絵本を書くのが、きつくなる日がくるだろうなあ」と。「でも何も書かないのは、さみしくないかな」と思いました。そのとき「少年詩だ」とひらめいたんですね。まどみちおさんが90歳になってもマイペースで詩を書いてるじゃないか。まどさんのご年齢と仕事ぶりを見ていて感じるものがありました。よし、60歳になるまでに「わたしも少年詩を書きます」と手をあげよう、と思ったんです。

絵のような詩があってもいいじゃないか

───基本的なことなのですが、少年詩と現代詩は、どう違うのでしょうか。

少年詩は絵本と同じで、子どもが読み、大人も読むものです。
現代詩は・・・子どもが読んでもわからないんじゃないかな。

───大人の詩を書いてこられて、子どもの本の仕事をしていらっしゃった。だから「少年詩を書こう」と思ったらすぐ書けたのですか。

いいえ、ぜんぜん。言葉の筋肉がちがうんですね。大人の詩を書いてきた筋肉はどうしても固すぎる。わざとやわらかい言葉をつかうと、そこだけ浮いてしまう。悪戦苦闘ですよ。
でもある日、ひょっこり「なみ」という詩が書けた。もともとジョアン・ミロやベン・シャーンの絵が好きだったから、絵のなかに文字があるなら、絵のような詩があってもいいじゃないか、と、ふっと思ったのね。パソコンに向かって「へへへへ・・・」と押していったら、できた(笑)。気楽さがよかったんでしょうね。バカだからそれで自信ついちゃって(笑)。それからですね、スコーンと力が抜けて、少年詩が書けるようになったのは。
「なみ」が運命の扉をあけてくれた。あの詩がなかったら、いまでも悶々として、書いちゃあ消し、書いちゃあ消し、と、やっていたかもしれませんね。

───2000年に出版された最初の少年詩集『うみがわらっている』(銀の鈴社)のなかの一篇ですね。これを見た瞬間、なんだか内田さんらしい!と感じて、にやにやしてしまいました(笑)。

うみがわらっている
著者:内田 麟太郎
画家:斎藤 隆夫
出版社:銀の鈴社

その日もー  昼寝をしていたら、突然、少年少女詩集を出したくなった。それでぼんやり、詩のタマゴらしきものをこしらえては、ワープロでぽちぽち入力した。いくつか溜まってくると、だれかに見せたくなる。そのアリガタメイワクに付き合ってくださったのは、甲木善久さんと長野ヒデ子さんである。  だから、絵は当然に長野ヒデ子さんということになるけれども、また二人のことが瓦版で騒がれるのもなんだから、虫占いで斎藤隆夫さんにお願いした。斎藤さんはヘンな人で、「詩を見ないで絵を描きたい」といわれた。ヘンな人は私も好きだから、「はにょー」と二もなく頷いたようである。それでも、詩集は、絵と詩がひとつの歌をうたっているのではないかと思っている。へんてこりんなトチチリシャンだろうけど。 ーあとがきより抜粋ー

『うみがわらっている』を見てご連絡くださったのが伊藤英治さんです。伊藤さんは『まど・みちお全詩集』を編集された方です。内田さんの詩集を出したいから、一年間で一冊分の詩を書いてください、とおっしゃる。わたしはまだ少年詩を書きはじめたばかりだからそんなにうまく書けない。書いてもそのうち四割は捨てなきゃいけないだろうと思いました。「とても書けません」と言うと、伊藤さんは「一週間に一篇書けば、間にあいます」と(笑)。
言葉あそびの詩をということでしたから、ナンセンスユーモアものをたくさん書きました。それだけではまずいかな、と、マジメなものもいくつか挟みました。一年後に作品を渡すと、伊藤さんは「内田さん、このような詩をまだ隠しているでしょう」「ありません」「いや、隠していますね」「だって言葉あそびと言われたでしょう」・・・。逆らいましたが、むだでした。さらにいくつかマジメな詩を渡して、本になったのが『きんじょのきんぎょ』(理論社)です。

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内田 麟太郎(うちだりんたろう)

  • 1941年福岡県大牟田市生まれ。個性的な文体で独自の世界を展開。「さかさまライオン」(童心社刊)で絵本にっぽん大賞、「うそつきのつき」(文渓堂刊)で小学館児童出版文化賞、「がたごとがたごと」(童心社刊)で日本絵本賞を受賞。絵本の他にも、読み物、詩集など作品多数。
    他の主な作品に「おれたちともだち」シリーズ(偕成社刊)、「かあさんのこころ」(佼成出版社)、「とってもいいこと」(クレヨンハウス)、「ぽんぽん」(鈴木出版)などがある。

作品紹介

まぜごはん
まぜごはんの試し読みができます!
詩集:内田 麟太郎
画家:長野 ヒデ子
出版社:銀の鈴社
うみがわらっている
著者:内田 麟太郎
画家:斎藤 隆夫
出版社:銀の鈴社
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