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恐竜博士と読もう!『せいめいのれきし 改訂版』監修者の真鍋真先生が、絵本の魅力を語ります。

『せいめいのれきし』は、宇宙に地球が生まれてから今この瞬間までの命のリレーを、5幕34場のお芝居に見立てて、壮大に物語る名作絵本です。ユニークで美しい絵と、詩情豊かなストーリーは、1964年の刊行以来ずっと、たくさんの子どもたちに愛されてきました。
 そして、今年の7月、現在の知見に照らし合わせて、本文がアップデートされました! 2009年にアメリカで刊行されたUpdated Editionを元に、国立科学博物館の真鍋真先生が全体の監修を担当され、東京子ども図書館の協力のもと、ついに改訂版ができました。真鍋先生は、恐竜研究の第一線で活躍中の古生物学者。子どもの頃からこの絵本が大好きだったそうです。『せいめいのれきし 改訂版』の魅力をたっぷり語ってくださいました。

せいめいのれきし 改訂版
せいめいのれきし 改訂版の試し読みができます!
文・絵:バージニア・リー・バートン
訳:いしい ももこ
監修:まなべ まこと
出版社:岩波書店

地球が生まれてから、今この瞬間までの長い長い命のリレーを、劇場仕立てで壮大に物語ります。名作絵本『せいめいのれきし』が、初版刊行から半世紀ぶりに生まれ変わりました。現在の知見をもとに本文を改訂。監修は、恐竜研究の第一人者・真鍋真氏。遠い昔から続く、はてしない時のお芝居。次の主人公はあなたです!

───『せいめいのれきし』との出会いを教えてください。

小学生の頃から身近にありました。景色の絵やうしろの見返しの博物館の絵が好きでした。不思議な生き物がたくさん描かれていて、図鑑に近い楽しさもありましたね。時代の移り変わりが舞台仕立てで語られるのにも心惹かれました。父がイラストや装丁の仕事をしていたので、子どもながらこの本のデザインやつくりにも関心があったように思います。同じバートンさんの『ちいさいおうち』も大好きでした。

───小さい頃から虫や恐竜がお好きだったんですか?

当時は将来博物館に勤めるなんて想像もしていなかったし、東京生まれの東京育ちで、昆虫採集もデパートの屋上でするような子どもだったので、化石にさわったのも大学生になってからなんです。そういえば、子どもの頃、図鑑のすみにアオダイショウの絵があって、それがこわくて触るのがいやで、アオダイショウの絵に指が触れないようにページをめくっていました(笑) リアルな絵だと、は虫類は嫌いという人もいると思いますが、バートンさんの絵はそれを感じさせませんね。


新しくなった国立科学博物館・地球館地下1階、恐竜の展示室で。 ティラノサウルスとトリケラトプスと真鍋先生。

半世紀ものあいだ、子どもたちに愛されてきた黄色い絵本♪

───『せいめいのれきし』の魅力をたっぷり教えてください。

この本の素敵なところは、三葉虫や恐竜といったその時代の生き物が、主役として次々に舞台に登場することです。バートンさんは、最後のページで、本を読む子どもたちに、これからはあなたたちの時代なのですよ、と語りかけます。三葉虫や恐竜が主役の時代から人間の時代へと移り変わり、今の自分も歴史の中では通過点となって、また次の時代にバトンタッチしていく。そんな風に、進化の歴史を、単に科学的な事実ではなくて、もっと身近で心温まるストーリーに感じさせてくれます。私たちから縁遠いような不思議な生き物も、ずっと「進化」でつながってきたんだと気づかせてくれます。


   『せいめいのれきし』が大好きな真鍋先生

地球館3階「コンパス」にいるティラノサウルスの親子。

───本当にたくさんの生き物が登場しますね。いろんな動物が現れては消えていきます。

じつは、バートンさんは、生き物の成功物語や、進化の見方を語ってはいません。淡々とそれぞれの時代の主役達と環境の変化を語っているだけなんです。今でも、恐竜は環境の変化に適応できなかった失敗作だと言われてしまうことがありますが、原作が描かれた1960年代はもっとその考え方が当たり前でした。けれど、バートンさんは、恐竜は生きるのに失敗して絶滅してしまったんだとか、私たちの祖先のほ乳類がいかに賢くふるまったか、なんてことは言わずに、さりげなく人間の時代を迎えています。そんな風に過去の生き物たちを、親近感や愛情を持って見つめるというのはなかなか出来ないことですよね。


トリケラトプスの新復元。前あしのつき方に注目です。

トリケラトプスを待ち受けしゃがむ、ティラノサウルス。ちょっとかわいい。

───今回真鍋先生がかかわられた『改訂版』について、今までと変わったところを教えてください。

たくさんありますが、まずひとつには、恐竜の絶滅についてです。これは2009年に刊行されたUpdated Editionにもとづく変更です。バートンさんがこの本を書かれた1960年代には、隕石の衝突は知られていなかったので、「はちゅう類は、ひとつひとつ死にたえて、ぶたいからきえていきました」と語られていました。今は、小天体が地球にぶつかり、舞い上がったちりで、太陽光線が地球に届かなくなって、急激に寒冷化したこと、また、植物が光合成をできなくなって枯れてしまい、それをえさにしていた動物たちも、草食動物も肉食動物も食べ物がなくなってしまい、大量絶滅したことがほぼ確実視されています。そこで、改訂版では「白亜紀のさいごの日に、直径やく10キロメートルの小天体が、地球にぶつかりました。この大衝突のあと、地球はさむくなり、恐竜たちは死にたえてしまいました。」と変更しました。石井桃子さんの訳に親しまれている方は、まずそこが一番ちがうと感じるかもしれませんね。


『せいめいのれきし 改訂版』38-39ページ

───他にはどんなことがありますか?

もうひとつは、恐竜の一部が鳥に進化したことをもりこみました。これは日本語版オリジナルの改訂ですね。バートンさんは今では恐竜には、博物館の化石でしか出会えないと書いていましたが、じつは今では、恐竜は完全に絶滅してしまったわけではなくて、一部は鳥に姿を変えて、現代も進化を続けていることが分かっています。だから、みなさんがスズメやハトやカラスを見たら、それは恐竜の子孫であることを思い出してもらえたらいいなと思います。


『せいめいのれきし 改訂版』34-35ページ

こんなに大きいティラノサウルスも鳥の仲間なんですね!

───生物の名前もいろいろと変わりましたね。ディニクティスがダンクルオステウスになったり……。

学名を直したり、現在の読み方に修正したり、いろんなところでやりました。古いバージョンだと、いろんな生物について、教科書や図鑑で調べようと思っても、あれ載っていないと思うことがあったかもしれません。今回の改訂できちんと対応したので、もっと調べたい、博物館で化石を見てみたい、というときに直接できるようになりました。

───ブロントサウルスもアパトサウルスになりました。


アパトサウルスを愛おしげに見つめる真鍋先生♪


ちょっと微妙なんです(笑) ブロントサウルスとアパトサウルスは同じ恐竜であるべきだ、学名を統一しなくちゃというときに、先につけられた名前に統一されて、アパトサウルスになっちゃったんです。でも今年の春に新しい論文が出て、「ブロントサウルス」がまた復活したんです。今回の改訂版ではアパトサウルスに直したけれど、今後その新しい論文が支持されるようになると、ブロントサウルスに戻さなくてはならなくなるかもしれないです(笑)

───う〜ん、面白いですね! 子ども達はみんな物知りで、恐竜が好きな子は、名前も含めて、いろんなことを知っていますよね。

日本は、本や図鑑が充実していて、みんなよく知っていますね。図鑑なんて、毎年のように改訂されていてすごい。子ども達、大人達、みなさん関心が高いですね。今回の改訂で、『せいめいのれきし』に登場する生き物たちも現代の名称や説に合わせて修正ができたので、また今の「新しい読み物」として読んでいただけたらうれしいです。

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真鍋 真(まなべまこと)

  • 1959年、東京都生まれ。イギリス・ブリストル大学理学部地質学科で博士号を取得。1994年より国立科学博物館地学研究部に勤務し、現在は生命進化史研究グループ長。化石から進化を読み解こうと、恐竜など中生代の爬虫類、鳥類化石を見つめている。恐竜や古生物の図鑑や書籍の監修多数。

作品紹介

せいめいのれきし 改訂版
せいめいのれきし 改訂版の試し読みができます!
文・絵:バージニア・リー・バートン
訳:いしい ももこ
監修:まなべ まこと
出版社:岩波書店
ちいさいおうち
作・絵:バージニア・リー・バートン
訳:石井 桃子
出版社:岩波書店
名馬キャリコ
作・絵:バージニア・リー・バートン
訳:せた ていじ
出版社:岩波書店
ビュンビュンきしゃをぬく
作:アーナ・ボンタン ジャック・コンロイ
絵:バージニア・リー・バートン
訳:ふしみ みさを
出版社:岩波書店
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