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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2015.08.13

当世落語絵本『母恋いくらげ』
大島妙子さんインタビュー

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当世落語絵本『母恋いくらげ』大島妙子さんインタビュー

日本の古典芸能のひとつ、落語。絵本と落語は相性が良く、落語の噺を絵本にした「落語絵本」も多く出版されています。今回ご紹介する、『当世落語絵本 母恋いくらげ』(理論社)も、落語絵本のひとつではありますが、今までの落語絵本とはちょっと違います。主人公のくらげの住む海の中は、落語でおなじみの江戸時代。でも、陸上はコンクリートの道路にバスや車が走る、現代が舞台のおはなしなんです。この一風変わった落語絵本『母恋いくらげ』がどのように生まれたのか、大島妙子さんに制作秘話を伺いました。

当世落語絵本 母恋いくらげ
当世落語絵本 母恋いくらげの試し読みができます!
原作:柳家 喬太郎
文・絵:大島 妙子
出版社:理論社

赤ちゃんくらげのくらのすけは、海デビューの日、大波がきて浜にうちあげられてしまった。水たまりにひとりぼっちになり、心細くてたまらなくなるが、あるものをおっかさんとかんちがいして……。人気の新作落語を絵本化した意欲作。

落語「母恋いくらげ」を聴いて、絶対に絵本にしたいと思いました。

───海の中を思わせるような涼やかな表紙とかわいいくらげの親子が目を引く『母恋いくらげ』。よく見ると、「当世落語絵本」と書いてありますが、普通の落語絵本とは違うのでしょうか?

「じゅげむ」や「めぐろのさんま」などは江戸や明治、大正にかけて生まれた落語で「古典落語」といいます。それ以降に作られた落語は「新作落語」や「創作落語」というのですが、「母恋いくらげ」は平成、今の時代に生まれた落語なので、「当世」と編集者さんが名前をつけてくれたんです。

───新作落語ということは、原作者である 柳家 喬太郎(やなぎや きょうたろう)さんが考えた落語なんですか?

そうです。しかも、ただ新作落語を考えたのではなく、高座(寄席の舞台)の最中に、お客さんから3つのお題をもらって即席で噺を作る「三題噺」の中で生まれたのがこの「母恋いくらげ」なんです。

───喬太郎さんは即席で、このおはなしを考えたんですか? すごいですね!

しかも、「電気」「ミカン」「みずたまり」という3つがお客さんからお題として出されて、「母恋いくらげ」を作ったそうです。はじめてこの落語を聞いたとき、海の中で魚たちが生き生きと生活している姿がばーっと目の前に浮かんで、「いつか絵本にしたい!」と強く思うようになりました。


『母恋いくらげ』の下絵を見せてもらいました。

───その強い思いが実現したのがこの絵本『母恋いくらげ』なんですね。耳で聞いていたおはなしを、実際に絵本の文章にするのは大変ではなかったですか?

喬太郎さんから絵本にする了承をもらってから、まず最初に絵本のページ数に収まる様に場面割をして文章を考えることをしました。でも、この作品に対する思いが強すぎて、最初はなかなか文章を削ることができなかったんです。何度もトライして、絵本として魅せるための構図を考えていくうちに、少しずつ場面の見せ方を変えていって、今の形に収めていきました。

───特に大変だったところはどこですか?

例えば、落語の場合、場面が変わるとき「ところかわって、こちらは…」という接続詞を入れれば、聞いている人は「あ、場面が変わったな」と理解してくれるのですが、絵本は前のページつながりが大切なので、突然、場面を変えたり、時間を飛ばしたりすることがしにくいんです。なので、落語で多く描かれていた人間の世界のはなしを絵本では削って、くらのすけのストーリーを軸に持ってくることにしました。

───それで、海の中の様子が細かく描かれているんですね。よく見ると、「かに道楽」ならぬ「えび道楽」があったり、立ち食いそば屋やお風呂屋さんがあったり、にぎやかですよね。魚は何を参考に描いたのですか?

図鑑を見たり、テレビで海のシーンがあると録画をしてみたりして、観察したのですが、おもしろい生き物がいっぱいいて、描きたいものだらけですごく悩みました。海の中を描いているときは、波の動きや水の揺らめき、光の入ってくる角度などを考えて、輪郭にはっきりとした線を使わないように、鮮やかな色も極力抑えて……と、常に気をつけていました。

───陸上の世界は現代的で、海の世界は江戸時代を感じる……魚たちがみんな着物を着ているのも、すごく新鮮でした。


人間のように着物を着ている海の生き物。ユニークです。

落語の中では、魚たちの暮らしぶりなどあまり詳しく語られていないのですが、私の中では、魚たちが仕事に出かけたり、お店を開いていたりする姿が落語から想像できて、それをそのまま描いた感じです。

───そして、主役のくらのすけですが、前かけをして、頭をひとつに結わいていて、とってもかわいい! くらのすけは電気クラゲということですが、モデルはいるのですか?

編集者の方と、いろいろ相談しながら、イメージを固めたのですが、特定のくらげではなかったと思います。クラゲは胴体がないので、着物を着せるのがとても大変でした…。

───物語の導入部分は「語り」ではじまって、次のページでタイトルがバーンと広がる。この展開が映画のようにドラマチックですね。

映画を観るのがすごく好きなので、絵本を読む人にも、この作品の世界にググッと入り込んでほしいと思って、導入部分を考えました。

───はじめて海に出る「海デビュー」の日、最初は物おじしてしまい、なかなか表に出られないくらのすけですが、しばらくすると慣れて、おっかさんから離れて友達と遊ぶ様子は、くらげの子も人間の子も同じですね。

そうですね。遊びに夢中になりすぎて、親と離れてしまい、迷子になる子はくらのすけの行動に共感できるんじゃないかと思います。

───すると、突然天気が崩れ、大波にさらわれて、浜辺の小さな水たまりに打ち上げられるくらのすけ。……どうなるんだろうと思ってページをめくると、場面が変わって、人間の世界の遠足バスの中。この切り替えは、落語ならでは……という感じがしました。

ページをめくることで、時間の経過や場面の移動が表現できる絵本の特徴を使って、落語の「ところかわって…」という場面転換を上手く表現できればいいな……と思いながら描きました。

───遠足バスからくらのすけのいる水たまりに捨てられたミカンの皮をおっかさんだと思って、安心して皮の中でうとうとする場面は、『母恋いくらげ』のタイトル通り! おっかさんを恋しがるくらのすけの姿がかわいくてたまりません。でも、そのすぐ後に、おっかさんを守ろうと、奮闘する……。このくらのすけが急にたくましくなる場面が、読んでいて成長が嬉しいような……、ちょっとさびしいような……複雑な気持ちでした。



落語では、ミカンの皮を先生が拾いに来るんですが、絵本では子どもが拾いに来た方が、おはなしが盛り上がるかなと思い、少し変えています。

───たしかに、子どもがくらのすけと対面した方が、次はどうなるんだろう……と気になりますよね。おっかさんだと思っていたミカンの皮を自分の力でしっかり守れて、無事に海の中に戻れたくらのすけ。落語ならではのオチは、物語をキュっと引き締めてくれています。さらに、裏表紙では、くらのすけが「母恋いくらげ」の落語を演じていて、この裏表紙が落語絵本の本当の意味でのオチなのかな…と思いました。


海の生き物たちが、くらのすけの落語を聞いて、涙を浮かべている様子も、人情話の要素が出ていて、良いですよね。

───うしろの見返しに書いてある子守唄も気になりました……。あれは、大島さんが作詞されたのですか?

あれは、『母恋いくらげ』を一緒に作った編集者の方が作詞してくれたんです。江戸時代の子守唄「ねんねんころりよ」の曲に合わせて、歌うとピッタリとはまります。

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大島 妙子(おおしまたえこ)

  • 東京生まれ。出版社退社後、絵本を描き始める。主な作品に「たなかさんのおひっこし」「ケンケンとびのけんちゃん」(以上あかね書房)、「タマミちゃんハーイ!」「ぼくんちどうぶつえん」(以上童心社)、「ちきゅうのうえのピクニック」(PHP研究所)などがある。

作品紹介

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