うまれてきてくれてありがとう うまれてきてくれてありがとう
作: にしもとよう 絵: 黒井 健  出版社: 童心社 童心社の特集ページがあります!
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日本画の技巧を取り入れた作風で、フランスから絵本を出版!

───谷口さんは、2004年に『サルくんとお月さま』でデビューした後、「CACHE CACHE」「tiens tiens」「LES 2PERES NOEL」「PINOCCHIO LA MARIONNETTE DEFER」とフランスの出版社から立て続けに出版していますよね。日本の絵本作家さんがフランスで活躍するのはかなり珍しいと思うのですが、最初から海外でデビューをしようと思っていたのですか?


フランスで出版された谷口さんの絵本。

まさか! そんなことは全然思っていなくて、声をかけてくれたのがフランスの出版社だったんです。

───海外で活躍されるなんて、とても夢のあるおはなしだと思います。いつ頃から絵本作家さんになりたいと思っていたのですか?

美大を受けようと浪人していた頃に、大丸ミュージアムで開催されていたイギリスの絵本作家さんの展覧会に行きました。そこで、ブライアン・ワイルド・スミスやチャールズ・キーピングなどの絵を見て、すごく感銘を受けたんです。言葉や文字が分からなくても、絵から十分ストーリーを感じられて、こんなに感動できる絵本というジャンルにとても魅力を感じて、絵本作家になりたいと思いました。

───実際に絵本作家になるために絵本を専門に学んだりしたんですか?

そこで、絵本を専門に学んでしまうのは、普通の人がいく道だと思って、戸惑いがあったので、かねてから希望していた美大に進みました。美大では日本画を専攻したんですよ。

───日本画ですか?! 今の谷口さんのタッチを見ると、すごく意外に感じます。

日本画の技術と共に日本の伝統を学ぶことで、世界の人たちに日本人であるぼくならではの作品が伝えられると思ったんです。

───なるほど……。日本画を学びながらも、常に世界で活躍することを見据えていたんですね。大学ではどんなことを学んだんですか?

授業では岩絵具などを使って作品を作ったり、「鳥獣戯画」などの絵巻物の模写も行いました。特に鳥獣戯画の模写は勉強になりましたね。

───「鳥獣人物戯画」は京都高山寺に伝わる絵巻物で、「日本最古の漫画」ともいわれていますよね。どういう部分が特に勉強になったんですか?

鳥獣戯画には、文字がないんですが、ストーリーは分かるし、白黒だけど見ているうちに、色が見えてくるようになるんです。ぼくの絵本の目指す先は「鳥獣戯画」の様な作品だと思いました。

───絵本はいつ頃から作る様になったんですか?

授業で習った日本画の技法や雰囲気を生かしながら、家で絵本の制作をしていました。

───大学で学びながら、絵本も作っていたなんて、すごく大変だったのではないですか?

大学生ですから、時間はたっぷりありました(笑)。大学4年生のときに日本画の卒業制作をしながら、自分の中の絵本の集大成として作ったのが、『サルくんとお月さま』でした。

───絵巻物の模写から言葉のない絵本を作るというのは、自然の流れだったんですね。

そうですね。それと、擬人化した動物を主人公にしているのも、「鳥獣戯画」などから学んだことです。

───なるほど、たしかに、サルくんやうさぎさんなど擬人化されたキャラクターですものね。どの動物もひと目で谷口さんのキャラクターと分かるくらい個性的ですが、動物を描く前にはスケッチなどに出かけるんですか?

はい。講演会などのイベントで色んな場所にお邪魔するので、全国にあるいろんな動物園に足を運んでいます。『まじょのルマニオさん』には鳥がたくさん出てくるので、青森まで、雪の中ハクチョウや野鳥をスケッチしにいってきました。

───やはりきちんと観察があるから、オリジナリティが表現できるんですね。特に好きな動物は、やはりサルですか?

そう思うでしょう。でも、特にサルが好きというわけじゃないんですよ(笑)。

───え?! そうなんですか??

ぼくが一番好きなのはカバ。カバの肌の質感や足のしわ、肌の色にちょっとピンクが入っているところがとても可愛くて好きなんです。あと、陸上と水中など生活しているパターンがいろいろあるのも良いですよね。2番目は……サイかな。サイの鎧をまとっているようなフォルムが大好きなんです。

───まさか、カバとサイが好きなんて、意外でした。絵本には日本画の画材が使われていないようですが、意識して使っていないのですか?

主に日本画の技法や考えを絵本に活かすようにしていて、画材ははじめからアクリル絵の具を使って描いています。

───日本画の技法とは?

例えば、空間の使い方。絵本は空いている部分に文字を入れますが、ぼくはあえて空間を生かして、文字の位置も調整するようにしています。空間にも時間の経過や主人公の心情など、物語を語ってもらっているんです。そういう手法が入っていることは日本人よりも海外の方の方が敏感で、海外の人から「日本画のように感じる」とよくいっていただきます。あと、紙も黒い紙を使って描いています。

───え? 黒い紙に色を塗っているんですか?

そうです。よーく見てもらうと、黒のところが塗られていないのが分かると思います。

───本当だ! ルマニオさんの帽子や服は紙色そのままですね! どうして、黒を残す描き方にしたんですか?

日本画の吸い込まれるような黒い色を出したくて、色々試行錯誤をして、黒い紙を使う方法に行きつきました。上から黒をぬるときは墨汁を使うことで、奥行きが出るように工夫しています。あと、影のところも絵の具の水を多くして、下の紙色が浮き出るように描いています。

───紙の黒を影にも絶妙に生かしているんですね……。その他、描くときに工夫している所はありますか?

色々ありますが、例えば『サルくんとバナナのゆうえんち』の崖の場面の絵、これは筆じゃないもので描いているんです。何を使っているか分かりますか?

───筆以外で描いているんですか……。なんだろう……ブラシのような…?

正解は、紙をくちゃくちゃにして、そこに絵の具をつけて、ポンポン押しながら描いています。

───なるほど! 紙に絵の具がついている場所と、ついていない場所からゴツゴツとした岩の感じが表現されるんですね。

『まじょのルマニオさん』の鳥の羽も、筆以外で表現しています。これは、どうやって描いているでしょうか?

───ええ〜〜〜……。たしかに、よく見ると筆で描けないような独特の模様がついていますね……。なんだろう? 縄みたいな模様に見えますが……。

正解は、ローラーです。色んな絵具をローラーにつけて、グルグルって紙に色をつけてから、鳥の輪郭になるように背景をぬっているんです。

───すごい! いろいろ使って描いているなんてビックリです。

ローラーは絵の具のまざり方がとてもきれいに出るので、鳥の羽を描くのにピッタリだと思って使いました。どんな手法を使うかは、大体イメージしてからはじめますが、あまり計算しすぎずにやって、偶然面白い色が出るのも好きなんです。

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谷口智則(たにぐちとものり)

  • 1978年大阪府生まれ。金沢美術工芸大学日本画専攻卒業。
    20歳の時にボローニャ国際絵本原画展を見て、独学で絵本を作りはじめる。
    絵本「サルくんとお月さま」で絵本作家としてデビューしたのち、フランスの出版社Le petit lezard社より絵本「CACHE CACHE」をはじめ、日本だけでなくフランスやイタリアなどで数々の絵本を出版。以降絵本の世界にとどまらず、テレビ、雑誌、企業広告、商品パッケージ、店舗デザインなどあらゆるメディアで活躍の場を広げる。
    今後の活躍が最も期待されつつある、日本人絵本作家の1人。読んだ人が絵本の世界に入り込め、登場人物の想いや言葉が空間に浮かんでくるような絵本作りを心がけ、たとえ言葉が通じなくても、子どもから大人まで世界中の人びとに想いと感動が伝わるような絵本作りを目指している。

作品紹介

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作:谷口 智則
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