あめあめふれふれ ねずみくん あめあめふれふれ ねずみくん
作: なかえ よしを 絵: 上野 紀子  出版社: ポプラ社 ポプラ社の特集ページがあります!
雨がふってきたので、カサをさしたねずみくん。ところが仲間がつぎつぎやってきて、「カサなんていらないよ!」しょんぼりしていたねずみくんですが……。
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絵本の読み聞かせで、「読書量の貯金」を増やそう!

───『将来の学力は10歳までの「読書量」できまる!』を読んで、小さいころから「読み聞かせ」を行い「読書量の貯金」を行うことがいかに大切か、知ることができました。

「高い学力を持つ子は例外なく小さい頃からたくさん本を読んでいる」。このことを私は、教育コンサルタントとして、多くの子と接している中で、身を持って感じてきました。特に「読み聞かせ」は、まだ自分で字が読めない子が「読書量の貯金」を積むために唯一、親ができることだと思います。早い段階からたっぷり読み聞かせをすることで、脳に刺激を与え、日本語の音になじんでいきます。そうすると本格的に勉強がスタートしたとき、その子が元々持っている能力の、はるか上までレベルアップさせることも可能になります。

───そう聞くと、「読み聞かせ」に底知れぬ能力を感じます。

ただし、よどみなくスラスラと、登場人物によって声色を変えたりする読み方で同じような読書量の貯金が行われるか……というと、そうではありません。子どもが、その言葉の音をしっかりと理解できるような読み方をすることが必要なんです。

───それが、本の主題である「一音一音ハッキリ読み」なんですね。「ある日のこと、じいさは 山へ しばかりにいき……」という文章を「あ・る・ひ・の・こ・と・じ・い・さ・は・や・ま・へ・し・ば・か・り・に・い・き…」と文字を一音一音区切るように、同じ強さ、音の高さで声に出して読む方法は、最初、とても戸惑いました。

お経みたいに聞こえるかもしれないですね(笑)。でも、私の指導を受けて実践したお母さんたちの中には、これまでより読むスピードは落ちたけれど、「今まで、じっと聞いていられなかった子どもが、じっと聞いている」と報告してくれた方も多くいます。

───どうして「一音一音ハッキリ読み」をすると、よく聞いてくれるようになったのでしょうか?

そのお母さんは「今までは音が“聞こえていなかった”から、聞いていられなかったのかも」とおっしゃっていましたが、私も同じように感じました。

───「一音一音ハッキリ読み」をすることで、普通に読む場合と、身につく国語力にどんな差が出るのですか?

色々あるのですが、「一音一音ハッキリ読み」をすることの最大のメリットは、日本語を複雑にしている「助詞」「助動詞」に対する理解力が早い段階から身につき、強化されることです。

───「助詞」と「助動詞」。本の中では『すてきな三にんぐみ』(トミー・アンゲラー/作絵 今江祥智/訳 偕成社)と『ろくべえまってろよ』(灰谷健次郎/作 長新太/絵 文研出版)を例に挙げて紹介していますね。

「あらわれでたの、くろマントに、くろい ぼうしの さんにんぐみ。」の「」と、「ろくべえが、あなに おちているのを、さいしょに みつけたの、えいじくんです。」の「」。この2つは両方とも強調の意味を持っています。大人はこの「助詞」「助動詞」の機能を、過去の読書量や経験から予想してはなすことができますが、小さい子どもはその経験がありません。「助詞」「助動詞」を使った日本語特有の文章構造を自然に理解できるような読み方が「一音一音ハッキリ読み」なんです。

───たしかに、「私は、○○です」となるのか、「私が、●●です」となるかで、文章の内容は違ってきますよね。松永さんはいつから、「一音一音ハッキリ読み」の重要性に気づき、薦めていたのですか?

この「一音一音ハッキリ読み」は私が考案したというよりも、戦前までずっと行われていた国語教育のひとつなんです。皆さんの中にも学校の授業で、『徒然草』や『源氏物語』の冒頭部分を音読した人がいると思います。意味も分からずに強制されて、古典を嫌いになった人もいるでしょう。でも、実はこれらの古典文学を一音一音ハッキリと読むと、現代文の読解能力が飛躍的に上がり、学校の成績アップにもつながるんです。

───古文を読むことで、成績アップにつながるなんて、すごく不思議です。


このことに気づいたのは、私の家庭教師の教え子だった中学2年生の男子がきっかけでした。彼の成績はクラスで下から2番目。特に国語は、ひらがなも読み間違えるレベルでした。そこで私は彼が学校の授業で習っていた『徒然草』の冒頭を、一音一音ハッキリ音読し、彼にも同じようにまねをさせる授業を行いました。 この方法を何度も繰り返した結果、徐々に彼の音読速度は速くなりました。それだけでなく、国語のテキストを読むスピードも上がり、社会の教科書までスラスラ読めるようになったのです。

───ひらがなも読み間違えていた男の子とは思えないくらいの成長ですね! そのときのテキストは『徒然草』でしたが、ほかの文章でも同じような効果を発揮するのでしょうか?

なぜ『徒然草』でそのような効果が出たのか……というのを後で考えたのですが、『徒然草』は江戸時代の寺子屋で、多くの子どもたちが音読の教材として使っていた文章なんです。『徒然草』の様に、ある時代にたくさんの人に音読され、今まで残ってきた文章には耳で聴いたときの「音が良い言葉」のエッセンスがたくさん詰まっています。そういう文章を音読すると、日本語を使って理解、表現する「日本語了解能力」が身につきます。

───「音が良い言葉」が使われている作品であることが大切なんですね。ほかにはどのような文章が「日本語了解能力」を高めるのに有効ですか?

私たちが国語に時間に習ってきた古典、その中でも100年以上前に書かれて、今でも残っている文章は「一音一音ハッキリ読み」をすることで、「日本語了解能力」を高めるのに役立つといえます。そういうテキストは、その時代より未来に活躍する作家の文章にも影響を与えていることが多いので、必然的にその作品よりも後の文学……現代文に対する理解力も身につくようになります。

───……ということは、最も古典の文章から「一音一音ハッキリ読み」を行っていけば、古典から現代文まで、ひいては、社会や算数、理科など日本語で書かれているものの理解力がアップするということですね。

その通りです。私は小さなお子さんをお持ちの親御さんを対象に、古典文学を使った「一音一音ハッキリ読み」の音読会を全国各地で行ってきました。でも、今まで古典文学に触れてこなかった人にいきなり「『徒然草』を子どもの前で音読しましょう!」といっても、すぐには広まりませんよね。そこで、古典文学と同じように「音が良い」日本語で書かれた絵本を選んで、本の中で紹介しています。

───「読むだけで頭が良くなる厳選本145冊」ですね。紹介されている本は、長い間親しまれてきているロングセラーから、最近の人気絵本まで、創作絵本、翻訳絵本を問わず幅広い作品が掲載されていますね。松永さんが考える「音が良い絵本」の特徴はなんですか?

基本的に、5つのポイントがクリアしている絵本を「音が良い絵本」として紹介しています。特に、美しい日本語で書かれていて、子どもの日本語に対するセンスを磨くという目的で選びました。

───145冊を厳選するのは、大変な作業だったのではないですか?

そうですね。私は絵本の専門家ではありませんから、編集者の方が集めた作品や子どもが小さいころに読んだ絵本など何百冊もの絵本を集めて、一冊一冊、「一音一音ハッキリ読み」を行い、何度も検討をして145冊に絞りました。作業自体は大変でしたが、音が良い絵本は調子やリズムが良く、読んでいると、歌を口ずさんでいるように心地よくて、ノリノリになっていることもありました(笑)。

───大変だけど、楽しい選書だったんですね。選んでいる中で特に音が美しいと思った絵本はどんなものがありますか?

例えば『どんどこ ももんちゃん』(とよたかずひこ/文 童心社)に出てくる「どんどこ どんどこ」という擬音語。実は文章として成立している擬音語は数少ないのですが、この「どんどこ どんどこ」という擬音語は音の楽しさがあり、一音一音読んでも乱れません。こういった言葉は子どもも大好きで、何度か聞いたら覚えてしまいます。「音が良い」模範のような絵本だと思います。あとは、作品ではないですが、青山南さんの文章はとても良いですね。

───『きんようびはいつも』(ダン・ヤッカリーノ/作絵 ほるぷ出版)や『アベコベさん』(フランセスカ・サイモン/作 ケレン・ラドゴー/絵 文化出版局)が紹介されていますね。

海外で売れている作品の多くは、原文である英語の音も良いです。翻訳家の方はその音の良さを知っていますから、なおさら、翻訳の文章をきれいにしようと思って、選りすぐった文章を書いているのではないでしょうか。

───日本の創作絵本で特に印象に残っている作品、作家さんはどなたですか?

石井桃子さんですね。

───『ピーター・ラビットの絵本』や『くまのプーさん』の翻訳者として、有名な方ですね。

石井さんは日本語の音についての達人ですね。特に、『ノンちゃん雲に乗る』(中川宗弥/絵 福音館書店)の冒頭の最初の第一段落は、樋口一葉以来の名文だと思います。作品は今の子どもたちにぜひ、音読してほしい作品のひとつです。

───そのほかにも、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』の中で紹介されている絵本を年齢別に何冊か紹介させていただきたいと思います。

1、2歳から


赤ちゃんの頃から読み聞かせできる絵本。物語性は最小限に、短い文の中にギュッと言葉が凝縮されている。そのため、とても練り込まれて、リズムやゴロの良い文が多く、上の年齢の子が覚えて暗誦するのにも最適。同じ本をくり返し読んであげよう。

3、4歳から


もっとも種類が豊富。ページも文字も少なめで、ストーリーもシンプルなので、音に集中できる。5、6歳はもちろんのこと、小学生でも楽しめる作品ばかり。自分で読むスタートにも。好みが出てくる年頃、一緒に眺めて子どもに選ばせるといい。

5、6歳から


文章が長く、話の内容も小学生が主人公だったりする、大きい子向けの絵本。読み聞かせで集中力を鍛えられる。もちろん下の年齢の子でも、興味を持ったら読んであげたい。この段階の本が難しそうだったら、「3、4歳から」に戻ってみる。

───ごく一部紹介させていただきましたが、どの作品も子どもに読んでみたくなりますね。

本では「1、2歳から」「3、4歳から」「5、6歳から」と年齢別に紹介していますが、子どもに身についている読書量は、それまで読んできた作品や読み方にも大きく左右されます。なので、ご自分のお子さんの反応をよく見て、紹介されている年齢の絵本が合わないようなら、下の年齢の分類からはじめることをオススメします。大切なのは、「本は楽しいもの」ということをお子さんが感じ、読書を習慣づけることです。

───読み聞かせに適した時間はありますか?

やはり寝る前の時間です。人間は寝ている間に脳の海馬で情報処理と知識の定着を行います。寝る直前に入った情報は脳の定着率も高いので、子どもの日本語了解能力を高めるのにとても効果的です。

───身体を動かすことが好きで、絵本になかなか興味を示さない子には、紙芝居も良いと紹介しているのも面白いと思いました。

紙芝居には文字が描いていないので、聞き手である子どもたちは、音を聞きます。そのため、紙芝居は「一音一音ハッキリ読み」に適した音の良い言葉が使われている作品が多いです。紙芝居を読むときは、より雰囲気を出すために「紙芝居用舞台」を用意して読むのがオススメです。

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松永暢史(まつながのぶふみ)

  • 1957年東京都生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒。教育環境設定コンサルタント。「受験のプロ」として音読法、作文法、サイコロ学習法、短期英語学習法など、さまざまなメソッドを開発している。教育や学習の悩みに答える教育相談事務所V-net(ブイネット)を主宰。『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)が30万部のベストセラーとなり、シリーズ累計60万部に。他の著書に『今、なぜ、勉強するのか?』(扶桑社)、『男の子は10歳になったら育て方を変えなさい!』(大和書房)など多数。
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