●読了できたという経験が、その後の読書経験に大きなきっかけを与えると思います。
───あんびるさんの最新作は「なんでも魔女商会」ですか?
はい。今、19巻目を鋭意制作中です。表紙のデザインとタイトルはもう決まっているんですよ。
───『なんでも魔女商会19 夜空のダイヤモンド』! 今回も女の子がワクワクするタイトルですね。
やっぱり女性は何歳であってもダイヤモンドにクラっときますよね(笑)。表紙でシルクが立っているのは、スピカおばさんが子ども時代に暮らしていた部屋なんです。今は誰も住んでいない部屋にシルクとコットンが訪れる…という場面なんです。
───今回もどんなストーリーなのか、とっても楽しみです。シリーズの中で、1度だけナナの学校生活がでてきましたが、今後もナナの日常の様子が描かれるおはなしもでてくるのでしょうか?
ナナの学校での生活が知りたいというお手紙もいただくんですが、「なんでも魔女商会」はシルクの世界に寄って行く話になるのかなーって思っています。シルクのおばさんやいとこ達が出てきて、より魔法の世界に入り込むストーリーを考えています。
───「なんでも魔女商会」では「ルルとララのおかしやさん」のように、あんびるさんならではの制作スタイルはあるのですか?
「なんでも魔女商会」に限ったことではないですが、おはなしの展開を付箋で書いて、このような(写真)シートを作っていますね。先ほどおはなししたように、「なんでも魔女商会」はカラーのページにお洋服のデザイン画が来ることが必須なので…(笑)。このようなシートを作ると、全体の流れも分かりやすくなるんです。
───これは滅多に見ることの出来ない、貴重な資料ですよね…。あんびる作品の生まれるヒミツに迫れて、とても感動しています!
子ども達の中には、あんびるさんみたいにおはなしを書いてみたいという子もいると思います。そんな子ども達へメッセージをお願いします。
ゼロからおはなしを作るのって大変だと思うので、自分の好きなおはなしの別バージョンを書いてみるのも面白いと思います。自分で考えた魔女商会のおはなしを書いて、サイン会に持ってきてくれたり、送ってくれたりする読者もいます。
───今回、おはなしを伺って、「なんでも魔女商会」や「ルルとララのおかしやさん」にはお母さん達もキュンキュンする設定が沢山散りばめられていると感じました。お母さん達にも是非、あんびるさんの作品を読んでもらいたいと思うのですが、メッセージをお願いします。
子ども達の中には、物語を最後まで読むことができない子が多いです。でも、読了できないと「読書=苦手」という意識を持ったまま年を重ねてしまいます。それはとても残念なことです。ただ、 1度でも自分で最後まで読みきれる本に出会えれば、読書が好きになると私は思っていますし、その後の成長過程で読書から離れたとしても、大人になってまた本を手に取ることもできると思います。ですので、読書が苦手でも読了できるように、子ども達の「大好き」がたくさんつまった本作りをするように心がけています。読了する価値は、本好きになるというばかりでなく、物語に込められたテーマやメッセージをちゃんと心に吸収できるという点にもありますね。
───読了できたかどうかという体験が大事なんですね。
私の本で「初めて読了できました」というおはなしをお母さんから伺うと、とてもうれしいですね。それだけでなく、毎晩読み聞かせをしてもらっていた女の子が、続きが知りたいばかりに「一人読み」を始めたとか、全然読書をしなかったのに、ルルとララがきっかけで本を読むようになったとか、サイン会でそう言ってくださる父母の方が少なくありません。わたしにとっては、そういうおはなしが何よりの励みになります。
───ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています!
これから『ルルとララのレシピカードブック2』を読んで、お菓子を作ってみようかな(笑)。
お知らせ
東日本大震災復興支援チャリティ
震災で消えた小さな命展
東日本大震災により犠牲になった動物たちの「小さな命」の姿を、絵本作家・画家・イラストレーターが、飼い主の方の希望をうかがい、絵の中によみがえらせました。その原画展が2012年8月を皮切に全国を巡回しています。あんびるさんも作品を出展しています。
詳しくはHPをご覧ください。
公式HP:http://www.chiisanainochi.com/

(編集協力:木村 春子)