たなばたウキウキねがいごとの日! たなばたウキウキねがいごとの日! たなばたウキウキねがいごとの日!の試し読みができます!
作: ますだ ゆうこ 絵: たちもと みちこ  出版社: 文溪堂 文溪堂の特集ページがあります!
ストーリーを楽しみながら、たなばたの知識が学べます!
tori.madamさん 30代・ママ

かわいい七夕物語
たちもとみちこさんの絵が好きで読みまし…
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  祝! 50周年だ ニャゴニャゴニャゴニャゴ「11ぴきのねこ」シリーズ 佐藤英和さんインタビュー

「11ぴきのねこ」シリーズを作り続けた29年間

───佐藤さんは29年にわたり、「11ぴきのねこ」シリーズの編集者として関わられていたと伺いました。

はい、そうです。でも、馬場先生とはそのずっと前から知り合いでした。最初にお会いしたのは、1955年ころ。私が編集者になって2年目くらいのときでした。当時、日本の出版社では「銀河」(新潮社)や「赤とんぼ」(実業之日本社)など、子ども向けの雑誌を出版するという大きな流れが起きていました。私も、子どもの雑誌が作りたいと思って、出版社に入社したんです。そこで、漫画の連載をお願いしたいと馬場先生のお宅に伺ったのが、最初の出会いでした。

───馬場のぼるさんは最初、漫画家として活躍されていたんですよね。馬場さんの絵本を読んでいる方でも、漫画家としての馬場のぼるさんをご存知ない方もいると思います。

残念ながら、そのときの連載は2回で終わってしまって、原画もどこかに行ってしまったし、この雑誌のことを知っているのは私しかいないと思うのですが、それから馬場先生の作品のファンになって、時々先生のお宅を訪ねては、「先生、ぼく、絵本の仕事がやりたいんですよ」と夢を語っていたんです。馬場先生もいつか絵本の仕事をしたいと思っていたようで、私の話を聞きながら「そうだねぇ…」と相槌を打ってくださいました。

───馬場さんの絵本作家としてのデビュー作は『11ぴきのねこ』が出版される4年前、1963年ですね。

そうです。まだ私がこぐま社を立ち上げる前のことです。岩崎書店で漫画家の方々が描いた絵本を出版するという「ポニーブックス」というシリーズが立ち上がってね、手塚治虫さんや、やなせたかしさん、柳原良平さんたちが参加されていたのですが、馬場先生もそのシリーズの1作を担当されました。それが『きつね森の山男』なんですよ。先生はこの絵本で初めて産経児童出版文化賞をもらったんです。

───『きつね森の山男』はその後絶版になりましたが、1974年にこぐま社で復刊されていますよね。

はい。馬場先生の最初の絵本ですから、絶対に途絶えさせてはいけないという思いもありました。しかし、私がこの作品を復刊したいと思ったのは、この中にひとつの哲学が入っていると思ったからなんです。このおはなしは、金もない、身分もない、位もない。ただ大根づくりがうまいだけの山男が、寒がりで戦い好きな殿様の「キツネの毛皮がほしい」という夢を、心変わりさせてしまう話です。しかもその方法は説教をするでもなく、力でねじ伏せるでもなく、ふろふき大根を食べさせるという方法。馬場先生は1927年のお生まれですから、当然、戦争経験があるわけです。そういう人が絵本に、山男が山男であり続けたから、大根づくりが大根づくりであり続けたから、殿様の考え方を変えさせたという物語を描いている。これは大変深い意味のあることだと思ったんです。

───そのことを、馬場さんにはお伝えしたことはあるのですか?

はい。馬場先生は「それは佐藤さんの深読みだよ」と笑って答えていましたが、そんなことはない。あれは先生の照れ隠しだと、50年も一緒に仕事をしていれば自ずとわかるものですよ(笑)。


『きつね森の山男』(右)とこぐま社創立30周年記念で出版された特装版(右)。

───馬場さんと佐藤さんは、本当に古くからの友人でいらっしゃったんですね。絵本デビュー作の出版から4年後、いよいよ『11ぴきのねこ』が出版されます。どのような経緯で、出版が決まったのですか?

私がこぐま社を作ったのが、1966年でした。いよいよ出版社を作るというときに、馬場先生にご報告したんです。そうしたら、馬場先生はとても喜んでくれて「それで佐藤さん、どんな絵本を出版するの?」と聞かれました。私は、常々「日本の子どもがはじめて出会う本を作りたい」と思っていましたから、その通りお伝えしたんです。そうしたら、先生は残念そうに「佐藤さん、それはぼくは描けないよ」と言ったんです。

───そうなんですか? とても意外です。

私も「では、どんな作品だったら描いていただけますか?」と聞きました。先生は「『アラジンと魔法のランプ』や『アリババと40人の盗賊』に絵を描きたい」とおっしゃったんです。

───どちらも、その後、こぐま社さんで出版されていますね。

はい。でも、当時はまだそういう作品が出そうとは思っていませんでしたから。それでも私は、馬場先生と絵本を作りたくて、「先生、ほかにはどんな作品を作りたいですか?」とたずねました。すると「お腹を空かせた猫が魚を食べるために頑張る話を描きたい」とおっしゃるんです。そこから「魚は大きい方がいい!」「ネコは1匹よりも、何匹かいたほうがいい。でも何匹にするか?」と話が膨らんで、気づいたら、ネコの絵本を作っていただくことになっていたんです。

───『11ぴきのねこ』の原型が生まれた瞬間ですね。そのときはまだ、ネコの数は決まっていなかったんですか?

そうなんです。馬場先生が考えてみるとおっしゃったので、お任せしていたら、後日電話がかかってきて「佐藤さん、11匹にするよ」と言われました。どうして11匹なのかというと、1匹は大将、あとの10匹が兵隊だというんです。それと、「じゅう・いっ・ぴき!」という発音が、元気が良くて気に入ったとおっしゃっていました。

───『11ぴきのねこ』にとらねこ大将がいる訳が、ようやく分かりました。出版されてすぐに『11ぴきのねこ』は人気になったのですか?

私たちが予想もしなかったくらい、多くの子どもたちに読んでいただきました。実は、馬場先生と私の中では、この絵本はきっとあちこちからいろいろ批判を受けて、そんなに売れないだろうと思っていたんですよ。

───え!? それはなぜですか?

まず主人公が、名前のないのらねこだってことが、当時の絵本では異色でした。さらに、こののらねこたちが狙っている大きな魚。普通だったら、退治される存在は、なにか悪さをして人々を困らせていますよね。それなのに、この絵本に出てくる魚は、悪さをしているわけではない。むしろ子守歌を歌うようなとてもやさしくて純情な存在なんです。それを、お腹が空いたという理由だけで、ねこたちがやってきて食べてしまう。大変残酷なおはなしです。

───そういわれると、そういうとらえ方もできるように思えますが……。

でも、私たちは「子どもたちはいつもお腹を空かしているし、タヌキのお腹みたいにお腹いっぱいになりたいと願っている。だから子どもは喜んでくれるだろう」と思っていました。なので、馬場先生と私は「世の中に残酷だって言われて売れなくても、子どもたちが喜んでくれれば良いね」と話していました。ところが、出版をしてみたら、驚くことに大人気となり、馬場先生は『11ぴきのねこ』で2回目となる産経児童出版文化賞を受賞されたんです。

───『11ぴきのねこ』が売れたことは、お二人にとってとても驚きだったのですね。

全く予想していませんでしたから、本当に驚きました。でも、そうなると第2作目という話が浮上してくるわけです。馬場先生も「やりましょう、やりましょう」と大変乗り気でしたし、ほどなくして「『11ぴきのねことぶた』というおはなしはどうでしょう?」とご相談いただいていたので、私はすぐに2冊目もできあがると思っていたのです。……ところが、一向に作品は上がってきませんでした。

───2冊目が発売されるまで、5年かかっていますね。

その理由は、『11ぴきのねこ』の最後の3ページ、つまり、大きな魚を捕まえたねこたちが帰路につき、夜になってあたりが暗闇に覆われて、次の日の朝、魚が骨だけになっている……これに匹敵する絵本の展開を思い浮かべることができなかったからなんです。これはおはなしのクライマックスへ向けてのとても重要な場面なだけでなく、ページをめくる間に長い時間経過を表していて、それを文章ではなく、絵だけで表現しているという、まさに絵本だから描ける表現方法だと思います。私は毎週のように馬場先生のお宅に伺って、いろいろなはなしをするのですが、決定的な提案ができないまま、月日は流れていきました。

───2冊目は『11ぴきのねこと あほうどり』そして、3冊目が『11ぴきのねことぶた』。あほうどりのはなしの方が、先に出来上がったのですね。

ぶたの話も、あほうどりの話も先生の中にはイメージが湧いていたんです。あほうどりは後に『画文集 馬場のぼるねこの世界』の中に登場しますが、あほうどりの背にねこたちが乗って空を飛んでいる姿を描きたいとおっしゃっていました。でも、その場面につながるストーリーがなかなかできあがらない。構想は浮かぶけれど、『11ぴきのねこ』のときのような、絵本だからできる表現の部分がなかなか浮かんでこない……。ついに私は「先生、ぼく『ねこ』をあきらめます。ほかの絵本を作りましょう」って言いました。


『馬場のぼる ねこのせかい』より。

───馬場さんはなんと返事をされたんですか?

そのときは、「他のおはなしなら、いろいろ考えているんですよ」と案を見せていただけるのですが、その作品も結局描きあがらず、先生のお宅に伺うたびに、気づくと『11ぴきのねこ』の話ばかりしていました。それで、もう続編もほかの話もあきらめた方がいいのかもしれないと思うようになったころ、馬場先生から電話がかかってきたんです。「佐藤さん、やっとできました」って。

───おお、ついに!

でも、今までにも何度もそういう電話をいただいていましたから、私はこれっぽっちも信じていませんでした……(笑)。本来なら、その日の内にお伺いするものなのですが、「じゃあ、明日伺います」とお伝えして、翌日、仕事が終わったころ、先生のお宅の最寄り駅で待っていたんです。そうしたら、案の定、待ち合わせの時間になっても、先生は現れないじゃないですか。

───なんと……。

もう、ガッカリもしなくなって、「やっぱりなぁ」って思っていたら、30分くらい遅れて、踏切の向こうから先生がやってくるのが見えました。そしたらね、踏み切りを渡りながら、私に大きく手を振るんです。その手にはしっかりと角封筒が握られていました。


「こんな風に」と言いながら、当時の馬場さんのポーズを真似てくださいました。

「あれ? もしかして……」と思いましたよ。先生とお店に入ると、先生は正座をして、封筒を私の目の前に出して「佐藤さん。長らく、お待たせをばいたしました」っておっしゃったんです。袋には『11ぴきのねこと あほうどり』と書いてありました。

───ようやく手にすることができたんですね。

中を取り出してみると、ペンで描いた下絵が出てきました。先生は「いや〜、佐藤さんが来るまでに文章まで入れて見せようと思っていたら、待ち合わせに遅れてしまったんだ。」と笑いながらおっしゃいました。読ませてもらうと、何も言うことがないくらい完璧に仕上げられていて、その翌日から、先生には絵の制作に入っていただきました。

───すごく感動的なエピソードですね! 馬場さんが長年悩まれていた、絵本での見せ方の部分、『11ぴきのねこと あほうどり』では、だんだんあほうどりが大きくなっていく形で描かれていますよね。

そうです。あとで話を伺うと、先生が私に電話をくれたとき、前の晩突然、「だんだん大きくなる」というのを思いついたんだそうです。同時に、全場面の構図が頭の中に浮かんできたと。これは忘れてはいけないとメモに残そうとしたら、続いて「あほうどりは あほうだ! 数が数えられない」というのがパパッとひらめかれたと言っていました。絵本の中のあほうどりが、11ぴきのねこが島に行って待たされている部屋に入ってくる場面、まさに絵本の絵になるべきな構図ですよね。先生はこの『11ぴきのねこと あほうどり』で、文芸春秋漫画賞を見事受賞したんです。

───絵本でありながら、漫画の賞を受賞するなんて、とても特別なことですよね。

そうなんです。先生も大変喜ばれて「次の『11ぴきのねこと ぶた』もきっとすぐに出来上がりますよ」と言ってくださいました。……でも、3冊目が出版されたのはそれから4年後のことだったんです。

───ああ、やっぱり……。でも、絵本として最もぴったりの展開を思い浮かぶまでの期間と考えると、とても短いように感じてきました。

『11ぴきのねこと ぶた』の最後に台風が来て、11ぴきのねこが作った家が吹き飛ばされてしまう場面や、『11ぴきのねこ ふくろのなか』のウヒアハから逃れるために、ねこたちが考えた脱出方法の場面、「11ぴきのねこ」シリーズには、全て絵で伝える場面が浮かんでから、絵本作りがはじまっているんです。私がすごいと思うのは、6冊すべての見せ方に、似たような展開がひとつもないということ。これはなかなかできることではありません。馬場先生が見せ方を追求したからこそ、「11ぴきのねこ」シリーズはすべての作品が今もなお人気なのだと思います。

─── 佐藤さんが特に好きな作品はありますか?

とてもとても、1冊に絞ることなんてできません。ただ、あえて1場面、好きなシーンを挙げるとしたら『11ぴきのねこと へんなねこ』に出てくる花火の場面。11ぴきのねこたちが本当に宇宙へ行ったみたいですよね。シリーズの中で、私は一番美しい絵だと思います。


左は佐藤さんが特にお気に入りの『11ぴきのねこと へんなねこ』の一場面。ファンの方がオブジェにしてくれたそうです。

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佐藤 英和(さとう ひでかず)

  • 1928年生まれ。長崎県の島原で幼少時代を送る。1953年、大学卒業と同時に、児童書編集者を志して河出書房に入社、編集者となる。
    1966年、日本の画家と作家による日本の子どものための創作絵本を作るため、株式会社こぐま社を設立。「11ぴきのねこ」シリーズ、『しろくまちゃんのほっとけーき』をはじめとする「こぐまちゃんえほん」シリーズ、『わたしのワンピース』など、数々のロングセラー絵本を作家と共に生みだした。
    また、肉声で読み、語ることを大切に考えた「子どもに語る」シリーズは、図書館、学校、ストーリーテリングの語り手から定評を得ている。
    現在、株式会社こぐま社相談役、公益財団法人東京子ども図書館監事。

作品紹介

11ぴきのねこ
作:馬場 のぼる
出版社:こぐま社
11ぴきのねことあほうどり
11ぴきのねことあほうどりの試し読みができます!
作:馬場 のぼる
出版社:こぐま社
11ぴきのねことぶた
作:馬場 のぼる
出版社:こぐま社
11ぴきのねこふくろのなか
作:馬場 のぼる
出版社:こぐま社
11ぴきのねことへんなねこ
11ぴきのねことへんなねこの試し読みができます!
作:馬場 のぼる
出版社:こぐま社
11ぴきのねこどろんこ
作:馬場 のぼる
出版社:こぐま社
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