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19年後…、8番目の物語。『ハリー・ポッターと呪いの子』 翻訳者 松岡佑子さんインタビュー

2016年11月11日に発売された「ハリー・ポッター」シリーズの新刊、『ハリー・ポッターと呪いの子』。
7巻で完結とされていた「ハリー・ポッター」が8年ぶりに出版されるということで、往年のファンはもちろん、これからJ.K.ローリングさんのファンタジー世界に足を踏み入れる新しいファンにとっても、大注目の一冊となっています。舞台の脚本であることでも、話題になりました。
今回、発売を記念して、シリーズ第1巻から翻訳をされている、訳者の松岡佑子さんにお話を伺いました。松岡さんは、日本版「ハリー・ポッター」シリーズを出版している出版社、静山社の会長でもあります。新刊のみどころはもちろん、翻訳のこと、長年向き合ってきた「ハリー・ポッター」シリーズへの思い、そしてご自身についても、お話いただいています。
スピンオフの新シリーズ、映画「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」も公開され、ますます広がっていく魔法の世界…。貴重なお話をお楽しみください!

ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部 特別リハーサル版
著:J.K.ローリング ジョン・ティファニー ジャック・ソーン
訳:松岡佑子
出版社:静山社

8番目の物語。19年後。 『ハリー・ポッターと死の秘宝』での戦いから19年が経ち、父親となったハリーが2人目の子どもをホグワーツ魔法学校へと送り出したその後の物語です。 ハリー・ポッターとして生きるのはもちろんたいへんなことだったのですが、その後のハリーも決して楽ではありません。今やハリーは、夫として、また3人の子を持つ父親として、魔法省の激務に押しつぶされそうな日々をすごしています。 ハリーがすでにけりをつけたはずの過去と取り組まなければならない一方、次男のアルバスは、望んでもいない"ハリー 一家の伝説"という重圧と戦わなければなりません。過去と現実は不吉にからみあい、父も子も痛い真実を知ることになります。

アルバス・セブルス・ポッター ・・・ ハリー・ポッターの次男。アルバス・ダンブルドア、セブルス・スネイプの名前をもらっている。父ハリーの伝説を重荷に思い、悩んでいる。

スコーピウス・マルフォイ ・・・ ドラコ・マルフォイのひとり息子。ドラコとは全く違う性格で、病弱な母を気にかけている。

ローズ・ウィーズリー ・・・ ロンとハーマイオニーの長女。いとこのアルバスとは同い年。性格は学生時代のハーマイオニーそっくり。

ハリー・ポッター ・・・ ロンの妹 ジニー・ウィーズリーと結婚し、3人の子どもの父親。魔法省魔法法執行部部長として多忙な日々。

ロン・ウィーズリー ・・・ ハーマイオニーと結婚し、2人の子どもがいる。兄のジョージといたずら専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ(W・W・W)」を経営。

ハーマイオニー・グレンジャー ・・・ ロンとの間に2人の子どもがいる母親であり、魔法省トップの魔法大臣として仕事に追われている。

ロンドン、ウェストエンドのパレス・シアターにて2016年7月31日に一般公開スタート。 第1部・第2部合わせて、上演時間5時間以上の大作! キャスティングも話題になりました。


舞台のパンフレット

会話が特に生き生きと感じられました。

───松岡さんは、「ハリー・ポッター」の新しい物語が舞台化することを、いつ頃からご存じだったのでしょうか?

作者J.K.ローリングが脚本を書いているという話は、2014年頃から聞いていました。脚本が本になるかならないかというのはしばらくわからなかったのですが、本の発売が決まったときには、日本でも発売すべく、すぐに手を挙げました。他の出版社と競争になったと思いますが、今までの実績が評価されて今回も私が翻訳することになりました。

───舞台になると初めて聞いたときは、どう思われましたか?

はじめは、どんな話かも分かりませんでしたし、できれば私は今まで通りの物語ので読みたかったので、本になると聞いても劇の脚本がいったいどんな形で本になるのか不安でしたね。本になっても、はたして売れるのかどうかもわかりませんので。 ただ、ロンドンでの舞台の一般公演が始まる前、リハーサルを見る機会を与えられたのですが、それが、ものすごく面白かったんです。
セリフも短いやりとりだけではなく、長いセリフがどんどん続きますし、会話の内容も非常にイギリス的で。物語の展開にも夢中になりました。すぐに、これは本になっても間違いなく面白いと感じました。
「ハリー・ポッター」は、今までの巻もそうでしたが、本がイギリスで発売されるまでは、内容が絶対外に漏れないように秘密にされるんです。今回もそうでしたから、実際に私が脚本を読んだのは7月の末で、訳しはじめたのはそれからです。

───「脚本」ということで、訳すときに今までと違う感覚はありましたか?

特に違いはなかったですね。J.K.ローリングは、元来「会話」の名手ですから。今回は、物語が会話で進んでいきますので、その会話が特に生き生きと感じられました。

───今回は、J.K.ローリングさんと、ジョン・ティファニーさん、ジャック・ソーンさんの、3人の著者で脚本を書かれていますね。

どういう形で協議したのか具体的にはわかりませんけれども、もともと舞台脚本家のジャック・ソーンが、J.K.ローリングのオリジナルストーリーに基づいて脚本にして、それにJ.K.ローリングが、相談しながら手を入れたのだと思います。ジョン・ティファニーはディレクターとして劇の演出の視点で脚本に参加しているのではないでしょうか。 3人の共作ということが、どういう影響を与えているかというのは気にしていた部分ではありましたが、実際に読んでみると、違いはわかりませんね。J.K.ローリングが一人で書いたと言われても、そう思うような、生き生きとした会話が続いていますから。脚本を読み終えて、「面白くて良かった!」という気持ちになりました。

───『ハリー・ポッターと呪いの子』は、7巻の『ハリー・ポッターと死の秘宝』の終章、「十九年後」の場面から始まります。

ハリーは3人の子どものお父さんになっていて、ホグワーツに入学する次男のアルバス・セブルス・ポッターを見送りに、家族で「9と3/4番線ホーム」へ来ている、という場面ですね。

───アルバスは、かつて父ハリーの敵だったドラコ・マルフォイの息子、スコーピウス・マルフォイと親友になりますね。ホグワーツ行きの汽車でのアルバスとスコーピウスの出会いや、寮の組分けの衝撃の展開! はじめからひきこまれてしまいました。

今回の物語の中で、スコーピウスは非常に魅力的な人間ですね。病弱だったお母さんのことで暗いところもあるけれど、本も宿題も好きで、とても優秀な子ですよね。お父さんのドラコ・マルフォイとはがらっと雰囲気が違います。アルバスと、スコーピウス、この二人は良い仲間ですね。

───おはなしの中で、過去と現在を行ったり来たりする展開も、今作のみどころですね。特に、4巻『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の場面がたくさん出てきて、ワクワクしました。過去の場面では、昔の巻を読み直しながら翻訳にあたられたのですか?

ハリー・ポッター(4) ハリー・ポッターと炎のゴブレット
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社

クィディッチのワールドカップで、空に不吉な印が上がった。ヴォルデモートの復活か?巧妙に仕組まれた罠が、ハリーを三大魔法学校対抗試合の選手に選ぶ。死を招く難題を、次々と乗り越えるハリー。しかし、親友のロンに異変が起こる。寂しいハリーの心を掴んだ女性は? 多彩な登場人物が、ハリーの過去を明かし、ヴォルデモートの正体にせまる。そしてついに痛ましい犠牲者が・・・・・・。

もちろん、その箇所をどういう風に訳していたかを確認するために読み直しています。ハリーの物語の内容はだいたい頭に入っていますけれど、文字に起こすとなると前の物語と違った言葉を使ってはいけないので、1巻から7巻までずらっと揃えて訳しました。劇では同じ場面が3回ほど出てくるので、セリフが違わないようにしました。

───シリーズでおなじみのキャラクターたちがたくさん登場するのも楽しいです。逆転時計でのタイムトラベルで、キャラクターたちの現在の姿と過去の姿にも再会できて、懐かしさを味わえました。

過去の場面を知っていると、ああ、そういうことだったのか、と楽しめることがたくさんありますね。ドラコ・マルフォイが過去の自分の気持ちをハリーに打ち明ける場面、7巻までを読んでいる人は特に感激するんじゃないでしょうか。

───はい。ドラコがあの頃そんな風に思っていたなんて! と驚きました。ドラコとハリー、大人になった二人の会話と、彼らの関係が変化する場面は、感慨深かったです。

昔の思いを聞くと、その関係も自然に受け入れられますね。ここで1番重要だったのは、ドラコの奥さんですね。昔からJ.K.ローリングは、マルフォイが誰と一緒になるか名前を明かしていました。物語には登場しないのですが、ドラコとスコーピウスの言葉で印象的に語られますよね。女性の力がここで強調されるのも面白いと思います。

───過去を操作したために、途中でロンとハーマイオニーの関係が変化してしまうところも、ハラハラしました!

ロンとハーマイオニーがお互い好きあっていることは、今までの物語の随所に出ていましたからね。

───アルバスとスコーピウスが、ロンとハーマイオニーの恋愛について、「ここで嫉妬が大事だったんだ」と分析しているのが、微笑ましかったです。

あれを言ったのは、スコーピウスでした。やっぱりスコーピウスは頭がいいんですね。大人ですね。

───会話の面白さについておっしゃっていましたが、ハリーとアルバスの親子の会話が印象に残っています。息子にどう接していいかわからないハリーと、有名な父親の重圧からひねくれてしまうアルバス。どんどんこじれていく二人のやりとりが、とてもリアルに感じられました。

それは良かったです。もともとの文章が面白くなければ訳すほうも大変ですけども、原文のセリフが非常にテンポがいいので、訳すのも楽でした。私はアルバスとスコーピウスの二人の会話のやりとりが好きでした。ティーンエイジャーらしいやりとりですよね。

───ハリーとロンの会話を思い出すような楽しさがあって、二人の会話は読んでいてとても楽しい部分でした。
そのほか、訳していて松岡さんが印象に残った場面はありますか?

わかりやすいのはスネイプの登場するシーンでしょうか。かっこよく再登場しているのがいいですね。スネイプのファンは多いですから。
あちこちみどころがあって、1つ挙げるというのは難しいですね。1巻から7巻までを読んでいれば、過去の出来事の経緯がよくわかって面白いですよ。読んでなくても楽しめるようにはなっていますが、やはりシリーズで読んでいれば読みが深くなるでしょうね。ぜひ、改めて読んでみてほしいと思います。

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松岡佑子(まつおかゆうこ)

  • 同時通訳者、翻訳家。
    国際基督教大学卒、モントレー国際大学院大学国際政治学修士。
    日本ペンクラブ会員。スイス在住。
    訳書に「ハリー・ポッター」シリーズ全7巻のほか、
    「少年冒険家トム」シリーズ全3巻、
    『ブーツをはいたキティのおはなし』(以上静山社)がある。

作品紹介

ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部 特別リハーサル版
著:J.K.ローリング ジョン・ティファニー ジャック・ソーン
訳:松岡佑子
出版社:静山社
ハリー・ポッター(1) ハリー・ポッターと賢者の石
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
ハリー・ポッター(2) ハリー・ポッターと秘密の部屋
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
ハリー・ポッター(3) ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
ハリー・ポッター(4) ハリー・ポッターと炎のゴブレット
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
ハリー・ポッター(5) ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
ハリー・ポッター(6) ハリー・ポッターと謎のプリンス
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
ハリー・ポッター(7) ハリー・ポッターと死の秘宝
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
ハリー・ポッターシリーズ 全巻セット(全7巻計11冊)
作:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
静山社ペガサス文庫 ハリー・ポッターシリーズ全20巻セット
著:J.K.ローリング
訳:松岡佑子
出版社:静山社
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