2016年冬に発売された『大きなクスノキ』(高陵社書店)は、伐採されることが決まった1本のクスノキを救うため、ひとりの少女が立ち上がり、大人たちを動かしていくおはなし。実は、この作品に登場するクスノキは、実際に存在している木なのです。今回は、『大きなクスノキ』出版記念第2弾として、絵本に登場するクスノキに会いに行ってきました。
ウタちゃんは小学校に入学したとき、お母さんからずっと昔から校庭に植わっているクスノキのことを教えてもらいました。 それからというもの、ウタちゃんはクスノキとお友だちになり、毎日クスノキの横に座って 「今日は逆上がりができるようになったの」 「うさぎちゃんが死んじゃったの」 「お友だちができたけど、けんかしちゃったの」 といろいろとお話ししました。 やがて、クスノキのそばで暮らしているセミさんやアゲハさんやヤマバトさんとも仲良くなりました。 ところが、ウタちゃんが6年生になった時です。 古くなった校舎を建て直すことになりました。 工事にあたってクスノキがじゃまになったので、クスノキを切り倒すという話が持ち上がりました。 それを聞いたウタちゃんはびビックリギョウテン。 ウタちゃんのクスノキ救出作戦が始まります。
●移植されたクスノキは今……。
『大きなクスノキ』の文章を担当されたみそのたかしさんに案内されてやってきたのは、埼玉県所沢市にある小学校。この小学校は絵本のモデルでもある、みそのさんのお子さんが卒業された思い出深い学校なのだそうです。
絵本の中にも書いてあったように、学校は改築されとてもきれいになっていました。 この建物のあった場所に、「大きなクスノキ」は立っていたそうです。
校門の近くにある石碑には、校歌が彫られていました。
小学校の先生によると、学校の改築計画がはじまったのが2001年。そのときにクスノキの伐採反対運動が起こり、2003年、多くの方の支援によりクスノキの移植が行われたそうです。
現在、クスノキは同じ学校の敷地内にいました。
クスノキは、4年ほど前から病気を発症していて、今、樹木医さんの指導の下、治療の真っ最中なのだそうです。
幹からほとんど枝がなくなってしまったけれど、残った枝は生き生きと、天に向かって葉っぱを広げていました。
病気が回復するころには、保存樹木として登録され、これからも長くこの土地で子どもたちを見守ってくれることでしょう。
クスノキと久しぶりに再会したみそのさんと、はじめましてのさとうさん。
完成したばかりの絵本を手に、クスノキと記念写真を撮りました。
それでは、次のページからみそのたかしさん、さとうそのこさんへのインタビューがスタートです。