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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  クレヨン画家の描く のびやかな雲の世界らいおんbooks 第2弾!『ぼーると ぼくと くも』 加藤休ミさん インタビュー

 

好きな人ができたら交換日記するといいですよ!

───ぼーると一緒に雲と遊んで、最後、男の子はぼーると一緒にお母さんのところへ帰ります。
雲と遊ぶにぎやかな場面と対照的に、穏やかなシーンですね。


街には、ケーキ屋さんに、音楽教室…、雲の場面で出てくるものが。うさぎもどこかに隠れています!

加藤:ぼーるがやさしく連れて帰ってくれます。お母さんは男の子が空で遊んでいたことにちっとも気づかなかったんですね。きっと、電動アシスト自転車が欲しいなあなんて考えごとをしていたのかもしれません。おとぼけ母さんです!(笑)

───のんきなお母さんですね(笑)。
地上に帰ってくると、抱えるのが大変なくらい大きかったぼーるが、男の子と「ぴったり」の大きさになりますね。

加藤:ここは最後まで決まらなかった部分です。おはなしのラスト、もうちょっと、もうちょっと、と悩んでいました。旅行している最中に、「ともだち=ぴったり」ってひらめいたんです。

───「ぴったり」ということばから、ああ、ぼーるも楽しかったんだ、ずっと男の子と一緒にいたいんだなと、ぼーるの意思が伝わってきました。

加藤:また遊ぼうね、という男の子の気持ちに、ぼーるも無言で「オッケー」と応えているようなラストにしたかったんです。「ぴったり」、伝わって良かった! いいですよね。ぼーると親友になるって。

編集・K:「楽しかった」と、終わる話ですが、これは彼の成長記でもあるんです。彼はもう空には行けない。でも、小さくなってしまったぼーるは、これからずっと男の子の側にいるんです。親友や恋人のように。

───なるほど。もう男の子は空には行けないのですね。

編集・K:短い時間のなかで、男の子はちょっとだけ大人になるんです。加藤さんとやりとりしていて、これが、男の子の成長記だということが、はじめはなかなかつかみ取れませんでした。ぼーるが小さくなることが出てきて、「小さくなることで、ずっと一緒にいたいって言っているんだ」とわかったとき、超いい話だった!と、そのときとても驚きました。

加藤:それね。いい話だって気づいてもらえたのは、交換日記のおかげなんですよ。

───交換日記をやっていたんですか?

加藤:はい。ジャポニカの漢字練習帳で(笑)

加藤:絵はほとんど先にできていたんですが、テキストがなかなか決まらなかったんです。話しているうちに、どんどんわからなくなって、膠着状態になりました。
まず、考えてることを全部吐き出そうという話になって...。
そこで、ノートに「あのページで思ってること」、「あのシーンで思ってること」というように、絵を見ずに、ずーっと文章で書いてみることにしました。
思っていることって、口に出して話すとなんだか恰好つけちゃうし、私たちはいつもだいたい外でお酒を飲みながら打ち合わせているので、話の途中で「すいませーん」とか飲み物注文しちゃったりするでしょ(笑)。

───それが交換日記の始まりだったんですね。

加藤:交換日記だと黙ってゆっくり読んでもらえるのがいいですよね。私が書いた文にKさんが「ここは、こういう意味?」って、赤字を入れてくれて。それに、私がまた返事をして。そうやって続いていきました。

編集・K:ぼくの気持ちを書いてもらった部分、
「ぼーるとぼくは、空の雲とたくさん遊んだ。いろんな形になって、雲だって、ぼーるのゲスト到来に、良い思い出ができたでしょう。ぼーるはもう、小さくなったから空に浮かぶことはないけれど、ぼくのぼーるになって、また一緒に遊ぼう」
この文章で、私はすごく泣いてしまったんです。この人の中に何が潜んでたの? って。
文章は400字詰めの原稿用紙だと思って作文形式で書いてとお願いしていたんですが、作文のたどたどしい感じが、本当に5歳の男の子のことばのように感じました。

───交換日記は、加藤さんの世界を掘り進んでいくノートだったんですね。

編集・K:加藤さんのなかではストーリーがあって、彼女にはちゃんと目で見えていたんだけれど、それを言葉で聞いても私はつかめなかった。彼女にしたら「書いたらわかるから見て」という感覚だったと思うのですが、ラフにテキストとして書いてしまうと、それはもう作品になってしまいます。それで、加藤さんの提案で交換日記に書くことになったんです。

加藤:やりとりしながら、この言い方だと伝わりにくいんだったら、ちがう言い方にしよう、など、ことばが整理されていきました。終わりのほうはだんだん絵本のテキストになっていって…。
絵本の文章以外もいろいろここでやりとりしていましたね。「今日もハイボール飲んだね」とか「ハイボール10杯」とか(笑)。それを郵送したり手渡したり、楽しかったです。

───交換日記で絵本ができていく…、今まで加藤さんも、こういうやりかたで制作を進めたことは、ないですよね?

加藤:ないです、ないです。昔、好きな人できたら交換日記するといいですよって勧められたことがありました。恋人とか夫婦間でも、日々のこと書いてやり取りすると、お互いすごく正直になるらしいですよ。
今回、それを思い出して、それだ、交換日記しようと思いついたので。

編集・K:私も交換日記なんて中学生ぶりでした。でもよかった。ずっと痴話げんかみたいだったんです。話しても話しても、どうしてこんなに好きなのにわかってくれないの?って。今までの絵本みたいに、私は、この絵本も加藤さんの声が聞こえてくるものにしたかったんです。交換日記をするまでは、「聞こえてこい、聞こえてこい」って、必死でした。

加藤:これのおかげで、意図をくみ取ってもらったし、間違った方向にいかないようにしてもらったと思います。すごい。みんな好きな人ができたら交換日記するといいですよ!

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加藤休ミ(かとうやすみ)

  • 1976年、北海道釧路市出身。クレヨン 画家、絵本作家。クレヨンとクレパスを用いた独特の画法と迫力あるタッチで、ノスタルジックな情景や滑稽味のある人物画や、なかでも食べ物を描いた作品は定評がある。2010年から築地、西荻窪、北海道立釧路芸術館にて展覧会「魚展」開催。絵本に『ともだちやま』(ビリケン出版)、『きょうのごはん』(偕成社)、『りきしのほし』(イースト・プレス)、『おさかないちば』(講談社)、『かんなじじおどり』(BL出版)、『いっすんこじろう』(文・内田麟太郎/WAEV出版)、『ながしまのまんげつ』(原作 林家彦いち/小学館)など。

作品紹介

ぼーると ぼくと くも
ぼーると ぼくと くもの試し読みができます!
作:加藤 休ミ
出版社:風濤社
全ページためしよみ
年齢別絵本セット