キキとジジ 魔女の宅急便 特別編その2 キキとジジ 魔女の宅急便 特別編その2
作: 角野 栄子 画: 佐竹 美保  出版社: 福音館書店 福音館書店の特集ページがあります!
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  大反響! 子どもが育つ、はみがき・おきがえの絵本『はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!』『パジャマでぽん!』くぼまちこさんインタビュー

おきがえって気持ちいい! 『パジャマでぽん!』

───パジャマにきがえるみーちゃんの絵に、子どもらしいしぐさがよく描かれていますね。どんな工夫をされたのですか?

『パジャマでぽん!』を描く前に、保育園に取材に行って、2、3歳児の様子を見せてもらいました。原画を描く際は、そのときに撮った写真をなるべく身近に貼って、毎日見ながら、「やわらかくなれー」「まるくなれー」と思いながらみーちゃんを描いていました。

保育園では2歳と3歳のクラスに参加させてもらいました。2歳クラスでは一年かけて、毎日のくりかえしの中で少しずつきがえられるようになって、3歳になると自立して、失敗もしながらやっていくのですね。2歳と3歳ってこんなにできることがちがうのか!と思いました。


「こんどは て!」(『パジャマでぽん!』より)


「さいごは おしり!」(『パジャマでぽん!』より)

───みーちゃんは何歳くらいのイメージですか?

みーちゃんは2歳から3歳になる子どもをイメージしています。ちなみに、『はみがきれっしゃ』のたっくんは、満3歳くらいのイメージです。
取材のときの子どもたちの後ろ姿や、手をあげるときのなにげないしぐさ、そういった姿が絵のヒントになりました。いきなり私の膝にどかっと座って靴下をはきはじめる子がいたのですが、この子おもらししていないかな、大丈夫かな?と心配になるくらいじっとり熱くて…(笑)。子どもってこんなに体が熱いんだ!と実感しました。そういう実感が実際の絵本づくりに生きていると思います。とても貴重な時間でした。

───具体的に絵はどんなふうに描かれるのですか?

ラフは鉛筆で描きます。何度もダミー絵本を作って、ダミーの最終的な完成品が下絵の元になります。原画は、ダミーの完成品をベースに下絵を描いて、その後、アクリル絵の具で塗っていきます。


表紙ラフ。ねずみくんの位置や、手首の描き方など、ちょっとずつ違う細部に注目。

───カット割りの場面もおもしろいですね。

ラフでは1ページに1カット、2カットの時期もありましたが、最終的に4カットになっていきました。ぎゅーっとここで詰まって、ぱっと手足が出るというふうになっていったんです。
足を「ぽん!」と突き出す場面は、胴体部分も絵に入れて描いている期間が長くて、思いきって足を大きく描くまでに時間がかかりました。このメリハリは松田さんからのアドバイスも大きかったです。


試行錯誤の末、完成したページは4カットに(右下)。


当初はみーちゃんの手やお尻を入れて描いていましたが、思いきって足だけ大きく「ぽん!」と突き出した場面になりました。

───すごい勢いですものね! ねずみくんもページから飛び出しています(笑)。

松田:みーちゃんのパジャマの、胴体と、腕と、足の部分と、色がそれぞれちがうことに気づきましたか? これはすごく重要なことなんです。
みーちゃんはまず頭をいれるでしょう。それから腕をとおして、足を入れる。最後にお尻を入れる。いくつもの大きな難関を突破しなくちゃならないの(笑)。仮に、ぜんぶ同じ色のパジャマだったと仮定してみてください。実際にはそういうパジャマが多いんだけど…。絵に描いたとき、どんなふうに見えると思いますか?

───うーん…。パジャマのどの部分かが、ぱっと見たとき、わかりにくいかもしれませんね。

松田:そうですよね。つまり「難関」ごとに色を変えているんです。「頭(体)」「手」「足」それぞれのステップごとに、色が変わるほうが小さな子どもには伝わりやすい。そういうことをくぼさんは考えている。
『はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!』も『パジャマでぽん!』も大きな意味では「しつけ絵本」かもしれない。でも私から見ると「しつけ」という言葉がピンとこなくて、むしろくぼさんは、「子どもの力」を信じている作家さんだなあと思うんです。

───「子どもの力」…。たしかに『はみがきれっしゃ』も『パジャマでぽん!』も、子どもが楽しそうにがんばる姿が輝いて見えます。

松田:親って子どもに対してすぐ「(自分が)なんとかしてあげなきゃ」と思っちゃうでしょう。それが「しつけ」につながるんだろうなと思います。でも、たとえば「はみがきしないと虫歯になるよ」「1人でおきがえできないと、幼稚園で困っちゃうよ」とか…そういう言葉や視点が、くぼさんの絵本には一切入っていないんです。

───そうですね。「…しなくちゃいけないから」ではなく、ただ楽しさが伝わってきます。

松田:子どものことを、「大人が教えてあげないといけない」という対象として見ていたら、2冊の絵本は生まれなかったと思います。


『はみがきれっしゃ』に負けず、『パジャマでぽん!』のダミーも多数。

最初にお会いしたとき、松田さんから「子どもって、自分でやりたい!という気持ちが強いよね。自分で『あっ』って気がついて、自分が成長したい気持ちをもっているよね」といわれたことがずっと頭にあって、制作中もときどき思い出していました。

───これから『パジャマでぽん!』が出版されて、みなさんの手に届いていくと思います。この絵本をどんなふうに楽しんでほしいですか?

洋服の中をとおるとき、一瞬、トンネルの中をとおるような暗さを感じることがありますよね。そういう一瞬の暗さやドキドキ感を主人公といっしょに体感してもらえたらいいなと思います。そして、なかなか顔や手足が出なくて「うーん」「ひっかかった…」と、ぎゅーっと詰まって、「ぽん!」の大きな音とともに出たときの解放感、爽快感を感じてもらえたらと思います。
「ぽん!」がくりかえし出てくるので、音のひびきを楽しんだり、実際に洋服をきがえるときにも「ぽん!」といって、手足が出たときの気持ちよさをいっしょにあじわってもらえたら嬉しいです。

おきがえは、できるようになれば無意識にできてしまうことですが、みーちゃん、ねずみくんといっしょに、失敗もしながら、毎日のおきがえが少しでも楽しくなったらいいなと思っています。

───ありがとうございました!

くぼまちこさんに もうすこし質問!

Q. 子どもの頃はどんな絵本を読んでいましたか?

『ぐるんぱのようちえん』や『ジオジオのかんむり』などの月刊絵本がうちにあって、1人で没頭して、くりかえし絵を見ていました。カラフルなおひめさま絵本の『シンデレラ』や『いばらひめ』も好きでした。

Q. 趣味はありますか?

仕事と趣味が一緒になってしまっていますが…。出かけると、つい子どもに目がいってしまいます。子どもがやっていることや、何気ないしぐさを見ているのは楽しいです。つい最近、町角で歩道を区切る二脚のスタンドのようなもの(A型バリケードという名前だそうですが)に、はまり込むようによりかかって、それで十分楽しんでいる子を見かけました。この間は、床屋さんをのぞいている子がいて…親はもう行こうとしているんだけれど、お店の中に顔を半分入れて、「みてるだけだよお!」と叫んでいる子を見ました(笑)。ささいなことですが、そういうことがすごくおもしろいです。

Q. 『はみがきれっしゃ』が人気になっている実感はありますか?

ときどき周囲から感想をいただいて、「ほっぺのあかりをぱちっとつけて」のページが気に入って、はみがきするよというと洗面所の電気をつけにいく子どもの話や、「はみがき」と聞くとこの絵本をもってくる小さな子がいるとか、おしゃべりがまだできないような子が色や絵を楽しんでいると聞くと、「ひとりひとりの子に届いているんだな」と実感して嬉しいです。


松田さんから ひとこと!
「制作の過程で、くぼまちこさんの取材の徹底ぶりと、粘り強さに感心することがたくさんありました。おだやか〜に見えて、すごくガッツがある人です(笑)」

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おまけ。上野の森親子フェスタや書店イベントで、このはみがきれっしゃくんが出動中。なんと、くぼさんがふわふわ感にこだわって手作りされたそう! 下部分は、ダンボール家具を再利用して、子どもたちが座れる丈夫なイスになっています。

インタビュー・構成・文: 大和田佳世(絵本ナビ ライター)
撮影: 所靖子

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くぼまちこ(久保真知子)

  • 1977 年、埼玉県生まれ。印刷会社でデザイナーとして勤務した後、出版社にて幼児向け教材の商品開発を担当したのち、絵本の制作に取り組む。『はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!』がデビュー作。

作品紹介

パジャマでぽん!
作:くぼ まちこ
出版社:アリス館
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