絵本作家・あいはらひろゆきさんが立ち上げた出版社「サニーサイドブックス」から、新しい絵本が出版されました。『あっぷっぷのぷ〜』は、子どもたちが大好きな「にらめっこ」を1冊まるまる楽しめる絵本。しかも、にらめっこするのは人間でも動物でもなく、なんと鬼!
赤に緑に青色と、なんともカラフルな鬼たちが、「あっぷっぷの〜」と迫ってくるのですから、楽しいこと間違いないですね。絵を担当したすずきまみさんは本作が絵本初出版。しかもあいはらさん自らが見出し、スカウトしたのだそう。すずきまみさんに絵本初出版の今の気持ちを伺いました。
●縁起物の置物が、絵本のキャラクターに?
───カラフルな鬼たちとにらめっこができる絵本『あっぷっぷのぷ〜』。すずきさんは元々、鬼のイラストや置物を作られていたそうですね。鬼を描いたり、作ったりすることは以前からお好きだったのですか?
仕事として、縁起の置物やガーデンオーナメントのキャラクターデザインをしていました。鬼も依頼を受けて、厄除けの置物として制作をしたのが始まりです。 私がデザインして、原型制作からサンプル作りまで手がけていました。
───今回、『あっぷっぷのぷ〜』の絵をすずきさんにお願いした経緯について、あいはらひろゆきさんは「10年くらい前に青森の空港で、かわいい鬼の置物を見つけて購入したのですが、そのときについていた冊子にたくさんの鬼の絵が描いてあって、それがかわいくて、いつか絵本にしたいなと思っていた」とおっしゃっていました。あいはらさんからはどのような形で絵本の依頼が来たのでしょうか?
この子たちは「風水鬼っ子」という風水をからめた縁起物の商品です。ちょうど風水が注目されはじめていた時期に販売されました。カラフルな鬼たちに風水の意味づけをした置物です。その風水の説明書として私が製作した冊子にメーカーであるセトクラフト(株)さんの記載がありましたので、まずセトクラフトさんに連絡がありました。
あいはらひろゆきさんが購入した「風水鬼っ子」。
「風水鬼っ子」の説明書。このイラストが絵本制作のきっかけになったそう。
───あいはらひろゆきさんから、絵本の絵の依頼が来たときはどう思いましたか?
思ってもいないことなのでびっくりしました。鬼でいったいどんな話が書けるのだろうと私なりに考えましたが、想像がつきませんでした。
私自身は子どもの頃、漫画が好きで漫画家になりたいという夢がありました。しかし、全くストーリーが書けずにすぐ諦めました。絵本が描けたらいいな、という憧れはありましたが、やはりおはなしが作れないので憧れだけでした。
───絵本作りはどのように進んでいったのですか?
あいはらさんのイメージを伝えてもらって、ラフスケッチを何度も描きながら進めていきました。私もアイデアを出しましたが、なかなか納得のいくものができず……。最終的に、あいはらさんが描いてくださったスケッチがとても完成度の高いものだったので、それを参考にしながら、一気に作業が進みました!