2014.11.27
(女の子の親なら見逃せない)世界中の子どもたちからマララさんへのことば
赤ちゃんの頃から一緒に絵本を読んできた僕の娘も、もう中学2年生。
ちょうど「女性が活躍できる社会を作る」ことが時代の潮流になってきているとメディアが報じることで、逆に「今は女性が活躍できない社会なんだ」ということを感じとり、そのことについていろいろと話しをします。
世の中で起きたことがテレビや新聞で話題になるのは、子どもと話しをするいいきっかけになりますよね。
へえ、と流してしまっては、何も残らずもったいないです。
● 大切なのは、子ども自身が感じ、自分の頭で考えること。大人はそれを手助けしよう。
とはいえ、ややもすると大人は「これはつまりこういうことなんだ」と、子どもに語ってしまいがちです。
でも大切なのは、子ども自身が感じ、自分の頭で考えること。大人はそれを手助けする。押しつけてしまっては残らないのです。
パキスタンのマララ・ユスフザイさんは「すべての女の子には教育を受ける権利がある」と主張していたことで学校帰りにタリバンの襲撃を受けて頭を撃たれたが命をとりとめ、史上最年少でノーベル平和賞を受賞した。世界には教育を受けることができない子どもや女性が大勢いて、学べることは当たり前じゃなく大事なことなんだよ・・・親としてはこんな説明を子どもにしたくなってしまいますが、ちょっと待って。
少し視点をずらしてみることで、子どもたちは自分自身で感じ、考えることができるんです。
この写真絵本は、そんな気づきを与えてくれます。
● 「親愛なるマララ、あなたに会ったことはないけど、なんだか親しみを感じるわ」
「マララさんこんにちは」は、勇気をもらった世界中の子どもたちからマララへのメッセージ絵本というかたちをとっています。
ペルー、ニジェール、エルサルバドル、インドネシア、ニカラグア・・・これらの国々の女の子たちの写真と、マララへの短い言葉が、読んでいる子どもたちに「わたしも彼女たちと同じだ」という共感を呼び起こすのです。
説明ではなく、押しつけでもなく、自然と湧き上がる感情。
わたしも、あなたといっしょに手を上げる。
これは「教育を受ける権利を主張する」ということはもちろん、「何か言いたいことがあれば、わたしたちも声をあげるよ」という勇気へとつながっていることでしょう。
子どもにも、親にも、簡単に片付けることのできない複雑な感情がわき起こるのですが、それはとても大切な感情だと思うのです。
そしてマララさんの演説のひとことひとことが胸にひびくことでしょう。
「ひとりの子ども、ひとりの教師、1冊の本、そして1本のペンが世界を変えるのです」
女の子の親なら見逃せない一冊。
こういう本を家の本棚に置くことが、親として出来る、娘への応援だと僕は思うのです。
word by 金柿秀幸(絵本ナビ事務局長)
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