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文: ジェーン・イーグランド 絵: 東條 琴枝 訳: 松川 真弓  出版社: 評論社 評論社の特集ページがあります!
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『おたすけこびとのクリスマス』:なかがわちひろさん&コヨセ・ジュンジさん

「小さなこびと達が働く車を駆使してケーキを作る」
子ども達を喜ばせ、大人達を驚かせた前作おたすけこびとの登場からはや2年。
待望の第2弾が発売となりました!!一体どんな内容なのでしょう、気になりますよね・・・。

『おたすけこびと』の発売時に続いて、今回も絵を描かれているコヨセ・ジュンジさんが絵本ナビにいらして下さることになりました。

『おたすけこびと』発売当初のコヨセ・ジュンジさんへのインタビュー
『おたすけこびと』発売当初のコヨセ・ジュンジさんへのインタビュー記事

そして更に・・・作者のなかがわちひろさんが一緒に来て下さることになったのです!
新作『おたすけこびとのクリスマス』制作秘話やみどころ、そして前回のインタビューで語られる事のなかった裏話(!?)までお二人にたっぷりとお伺いすることができました。お楽しみください。

この日、お久しぶりのコヨセさん(ちょっと風邪気味のご様子)が絵本ナビオフィスに登場、続いてキリッとした素敵な雰囲気のなかがわちひろさん、更に編集長始め徳間チームの方々(全て女性!)が続き。それぞれオーラを発している女性達に囲まれているコヨセさんを拝見した瞬間「今日は何だか面白くなりそうだぞ」という予感がしてしまったのでした。そして・・・その予感は見事的中するのです。

今度のテーマはクリスマス!

おたすけこびとのクリスマス

おたすけこびとのクリスマス
文:なかがわちひろ
絵:コヨセ・ジュンジ
出版社:徳間書店

クリスマスの夜。大切な仕事をたのまれたこびとたちのチームは、働く車の列をつくって、夜の町をはしっていきます。
どこへ行くのかな、そしてたのんだのは、だあれ…?
大人気絵本『おたすけこびと』の待望の第二弾! 画面のすみずみまで楽しめる、わくわくするクリスマス絵本です。

─── まずはコヨセさんにお伺いします。『おたすけこびと』に続く新作のテーマが「クリスマス」と聞いた時、どう思われましたか?

コヨセ・ジュンジさん コヨセ・ジュンジさん(以下コヨセ、敬省略):「『えーーーっ?』と思いました。」(一同笑)

クリスマスというのはあまりにも普遍的で大きなテーマなので、最初はどうしたらいいか呆然としてしまったというコヨセさん。ではどうやってこんな素敵な絵本が完成していったのでしょう、じっくりとお話を伺っていくことにしましょう。

─── 「クリスマス」というアイデアを出されたのは、作者のなかがわちひろさん(翻訳家、絵本や童話作家として活躍されています)だそうですね。そのアイデアはいつ頃から考えられていたのでしょうか?

なかがわちひろさん(以下なかがわ、敬称略):「前作『おたすけこびと』が完成した直後のコヨセさんは、疲労困ぱいしていたんですよね。でもしばらくすると、むくむくっと復活してきて(笑)次はどうするの?って聞いてくるようになって。じゃあどうしようかと具体的に色々考え始めたんです。
ただ、『おたすけこびと』という物語を考える時に、いくつもアイデアは出していたので、私の中ではクリスマスというテーマはかなり前からあったんですよね。今回、おたすけこびとに仕事を依頼したのは、お父さんでもお母さんでもなくサンタクロース。これで行こう!というのは、実はかなり早い段階で決まっていたんです。」

─── ほとんどの作品では絵も文章も手がけられているなかがわさんですが、この「おたすけこびと」シリーズでは文章の担当。特にこの作品は、とてもシンプルな言葉で書かれていますよね。具体的にどのような形で画家であるコヨセさんにお渡しするのでしょう?

なかがわちひろさん なかがわ:「依頼人はサンタクロースということで、設定を考えながら15見開き(絵本の完成形)にわけて文章を書いていきます。そしてそれぞれの場面に、『ここではこんな事が行われている』とか、『こんなことがあるんじゃないかな』『こういうことがあると思うよ』というような具体的なイメージや説明を書き込んでいきます。だから、私の頭の中では場面割というのは出来ているんですね。でも、それを画家であるコヨセさんに伝える為に、絵を描くのではなく、文章だけで渡します。文章を実際に絵にしていくと、今度は色々つじつまの合わない事も出てきますよね。だから今度は、出来上がってくるコヨセさんの絵を見ながら、また設定を練り直したり、アイデアを少し加えていったり・・・というような作業を重ねていきました。」

─── 夢のある存在として象徴的なサンタクロース、一方とても堅実で働き者のこびと達とくるま。一見、相反するような組み合わせにも思えますが、アイデアはすんなりと完成したのでしょうか?

なかがわ:「全然すんなりじゃなかったです(笑)。
依頼人がサンタクロースという事は決まっていたのですが、じゃあ何を依頼しよう?こびとになにをしてもらおう?というのは色々考えましたね。昔から童話に登場するサンタクロースのお手伝いとしてのトムテという存在ともちょっと違う気がするなぁと思ったり。また、機械(働く車達)というテーマがあり、運搬業というイメージもあり。さらには緊急車両というテーマも浮かんできて。他にもイメージとしては、前作が白くすっきりした感じだったので、今回は夜のシーンで行きたいなぁとか。そういういろんなアイデアやイメージが合体して出来上がっていったんです。」

完成した作品を読んでいて改めて気がついたのですが、そういえば子ども達ってどちらの要素にも興味津々ですよね!

なかがわ:「子ども達は、サンタさんがプレゼントを家まで届けてくれるっていうのを、とても楽しみにしていますよね。その一方で色々具体的に心配もするんです。『サンタさんが来るといっても、うちにはえんとつがないよ。』とか『窓を開けておいた方がいいのかな』、『マンションだけど大丈夫かなぁ』とか。だから、『どんな家でも大丈夫!こういう小人たちがいて、それぞれの家に合わせてちゃんと配達してくれているから』、そういう事が言えるお話になっていると思います。」

なるほど。その絶妙なバランス感覚は、やはりなかがわさんならではなのでしょうね!子ども達の心を惹きつけてしまうはずです。

なかがわ:「小さな世界のこびとに、大きなミッションをやらせたい!という想いがあって。でもこれが結構難しかった。絵描きさんはもっと難しかったと思います。」

大きなポイントはやっぱり「働く車」

さぁ、そこからコヨセさんの仕事がスタートします!今作でもやっぱり大きなポイントは「働く車」。前作でのインタビューで車両を描く為に色々と取材をされたというお話がとても印象的でした。今回は、更に精密に描かれているようにも見えますが・・・。

─── 今回も車両を描く為に、実際に取材はされたのでしょうか?

コヨセ:「機械についての取材はもちろんしました。今回は、パソコンや書籍で調べる事も多かったんですけどね。外国の車両なんかが見られますし。でもやっぱり、出かける時は必ずカメラを持参していました。というのは、描きたい車両が作業をしているのを見つけたらすぐに写真に撮っておかないと、次の日は既に次の工程に進んでいて見られなくなる事が多いんです。前回はそうやって撮った写真が頼りだったのでかなり必死でしたね。違う角度を見る為に色々な方向から写真を撮りに行ったり・・・。
ところが今回は、描き始めた時に、僕が住んでいる家の道路を挟んで向かい側の広い農地がつぶされて、マンションが建設される事になったんです。
まさに『欲しい角度で、欲しいクレーン車が』一生懸命目の前で働いてくれているんです!」
それは何という幸運!(笑)タイミング的にはバッチリだったのですね。

前作との大きな違いは「おたすけ会議」

───内容としては同じくこびと達と「働く車」が大活躍している新作ですが、実は制作段階では、前作の時と大きな違いがあったそうで?

コヨセ・ジュンジさん なかがわ:「前作では作品が出来上がるまで、実はコヨセさんとは直接お会いしていなかったんです。初めてお会いしたのは完成した後だったんです。もちろん、作品についてのやり取りはありましたけどね。でも今回は定例おたすけ会議と言うのがあって、月に最低1〜2度は行われていたんですよね。最後の方は2週間に一度のペースでコヨセさんと編集者と顔を合わせて。それが前作との大きな違いです。
そうやってこの作品を作っていったので、私としてはとても楽しかったですね。コヨセさんはどうだったか知らないけど。」(一同笑)

コヨセ:「・・・そうですね、楽しかったですよ。(と前置きをしながら)僕の中では、今回はスケジュールが決まっていたので、それが一番大きな違いでした。前作では(僕が心配になるくらい)催促が全くなかったので時間を存分に使って描いていたんです。実は編集部の方はイライラしていたみたいですけどね(笑)。」

コヨセさんにとって初めての絵本である前作については、編集部の方も催促は敢えてしない様にされていたそうです。ところが今回のテーマはクリスマス。当然スケジュールが重要となってきます。会議では、まず編集の方がスケジュール帳を開いて待機していたそうで。そういう意味ではコヨセさんの環境はがらりと変わった?

コヨセ:「お尻をたたかれて描く快感を覚えたというか(笑)。でもそのお陰で結構いいペースで出来たんだと思いますけどね。」

───そのおたすけ会議というのはどんな様子なんですか?

なかがわ:「おたすけ会議があるというと、コヨセさんが原画をクリーニングの袋にぷらーんぷらーんって下げながらやって来るんですよ。その原画を大きな打ち合わせ机に広げて、みんなで『わー!あそこが可愛い、ここが素敵!』って。『でもコヨセさん、ここはへんじゃない?』今度はつっこみが出始めて。そうすると、編集部の他の皆さんも集まってきて『あーだ、こーだ』と・・・。それでまたコヨセさんが『はーい』といって持ち帰って。泣きながらね(笑)女子がいじめてるみたいだったりして?
でも、絵になって初めて『この設定はこういうことだったのか』というのが見えてくるので『じゃあこうした方がいいね』とプラスしてみたり。
前作『おたすけこびと』の時に<こびと達の世界>というのがコヨセさんの中にしっかり入っていて、今回は彼の中でこびとたちを呼ぶというような感じに見えました。何も言わずにいてもこびと達が動いているんですよね。」

コヨセ:「そうですね、そういう意味では2回目の方がスムーズでしたね。」

最初に皆さんが登場された時に感じた、何だか和気合あいとしたこの雰囲気は、「おたすけ会議」を経て作られていったものだったんですね。納得です。

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コヨセ・ジュンジ

  • 1949年生まれ。福岡県出身。セツ・モードセミナー卒。雑誌「アン・アン」「セサミ」「BMWバイクス」などでイラストレーションを描く一方、単行本の装丁や表紙画を手がけ、児童書の仕事に『家出の日』(徳間書店)の挿絵がある。「おたすけこびと」が初の絵本作品。

なかがわ ちひろ

  • 翻訳家として『ふしぎをのせたアリエル号』『すてきなあまやどり』(徳間書店)『魔女のこねこゴブリーノ』(福音館書店)『せかいでいちばんつよい国』(光村教育図書)など多くの訳書を手がける一方、創作絵本や童話に『のはらひめ』『きょうりゅうのたまご』『たこのななちゃん』(徳間書店)、『カッパのぬけがら』『しらぎくさんのどんぐりパン』日本絵本賞読者賞を受賞した『天使のかいかた』(理論社)、『おじいちゃんちでおとまり』(ポプラ社)などがある。


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