もうなかないよ、クリズラ もうなかないよ、クリズラ
作: ゼバスティアン・ロート 訳: 平野 卿子  出版社: 冨山房 冨山房の特集ページがあります!
読み手の年齢を選ばない子どもから大人まで、それぞれの感性で理解してうけとめる事のできる「みんなの本」です。
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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2010.02.26

岩井俊雄さん
「100かいだてのいえ」シリーズ

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「100かいだてのいえ」シリーズ:岩井俊雄さん

縦に開く表紙、めくりながら100階建ての家を順番にのぼっていって・・・。
発売と同時に、あっという間に子どもたちの心をつかんでしまった絵本『100かいだてのいえ』。
作者は本格的な絵本は今作が初めての岩井俊雄さんです。
更に、下へ下へとおりていく『ちか100かいだてのいえ』まで登場!
一体、こんなアイデアはどこから生まれてきたのでしょう?岩井俊雄さんってどんな方なのでしょう?

100かいだてのいえ

100かいだてのいえ
作・絵:岩井俊雄
出版社:偕成社

100階だての家の最上階にすむだれかから、遊びにきてね、と手紙をもらったトチくん。地図を見ながら歩いていくと、高い建物があらわれました。上のほうはかすんでよく見えません。いろいろな動物がすむ100階だての家の探検がはじまります……。

ちか100かいだてのいえ

ちか100かいだてのいえ
作・絵:岩井俊雄
出版社:偕成社

じめんのしたの、ふしぎないえ。地球のなかにはなにがある? こんどは地下へ! 縦に開いて大迫力の『100かいだてのいえ』シリーズ第2弾。


岩井俊雄さん 先日、丸善ラゾーナ川崎店さんで開催された「みんなの100かいだてのいえをつくろう!」というワークショップにお邪魔してきました。

★その様子はこちからからどうぞ!>>>

そして、ワークショップを終えたばかりの岩井俊雄さんにインタビューをさせて頂きました!
絵本「100かいだてのいえ」シリーズについて、また絵本作家としての岩井俊雄さんについて、興味深いお話を沢山伺うことができました。

様々な活動をされてきているからこそ、岩井さんの目を通して語られる「絵本」の話の内容はとても新鮮!じっくりお楽しみください。

絵本『100かいだてのいえ』を描くきっかけ

“メディアアーティスト”という肩書きで国内外で多くの作品を発表されている岩井俊雄さん。一方で、娘さんと家の中での遊びについてまとめられた本『いわいさんちへようこそ!』でも大きな話題を呼びました。そんな岩井さんが手がけられた初めての描き下ろし絵本が『100かいだてのいえ』です。

─── 絵本『100かいだてのいえ』を描かれることになった、きっかけというのを教えて頂けますか?

まず大きなきっかけとして、『いわいさんちへようこそ!』という本があるんです。

いわいさんちへようこそ!いわいさんちへようこそ!

作・絵:岩井俊雄
出版社:紀伊国屋書店

僕はメディアアーティストとして作家活動を長くやってきて、特に知られていたのはハイテクを使って映像と音楽を組み合わせた作品や、子ども番組『ウゴウゴルーガ』のCGキャラクターなどでした。この本を出した時、あの「ハイテクの岩井俊雄」が、家では子どもとこんなアナログなことをやってるんだ、という驚きもあったのか、かなり注目されて。そして、この本を見た偕成社の編集者の方から「絵本を作ってみませんか?」と連絡をいただきました。『どっちがへん?』(紀伊國屋書店)という絵本を出してはいたんですが、まだ発売直後で多分ご覧にはなってなかったと思うんですよね。

─── 岩井さんご自身は、もともと絵本には興味を持たれていたのでしょうか?

小さい頃はもちろん絵本は大好きでした。「こどものとも」(福音館書店)をよく読んでいましたね。それから、漫画やアニメを通過して、高校に入って美術部に入ったのをきっかけに美術やデザインなどに興味を持ち始めたんです。ちょうどその頃は、安野光雅さん、福田繁雄さんといった方々が注目されていた時期。特に安野さんの絵本は『旅の絵本』、『ABCの本』 など、ビジュアル的に美しいだけでなく、すごく実験的。僕はもともと科学や機械が好きだったんですが、安野さんの数学やだまし絵などを取り入れた絵本を見て、「こんなものが絵本と結び付くなんて」とすごくショックを受けたんです。それからというもの、絵本を作品として見るようになりました。「ピーターラビット」シリーズにしても、精密な水彩画といい、本自体の完成度といい、本当にアート作品に近い。「絵本はすごい。こんな世界が表現できるなら、いつか絵本にも挑戦してみたいな」って高校の頃は思っていました。

ただ、その後大学に進んでからは、絵本のことが頭に引っ掛かりながらも、ハイテクを使って映像やアート作品を作ることのほうが面白くなってしまったんです。それからずいぶんたって、子どもが生まれたのをきっかけに、『いわいさんちへようこそ!』に載せたようなアナログな表現に戻ってきたんですよね。

─── そして、その本をご覧になった偕成社の方に、今度は「絵本をつくりませんか」と声をかけられて・・・。

岩井俊雄さん 『いわいさんちへようこそ!』を見て、「この人はもしかして絵本を描けるかも」と思ってくれたそうなのですが、それが僕としてはものすごく嬉しかったんです。メディアアーティストとしては、手描きで絵を描いて作品にするという事はまったくやっていなかったし、自分の絵にはぜんぜん自信がなかったんです。娘と遊ぶときだけ、別に他の誰にも見せるものではないし、手描きもたまにはいいかな、という程度の気持ちで描いていた。でも、そんな僕の絵に、プロとは違ったよさを見つけて声をかけてくれたので、素直に「うれしい、やってみたい」と思ったんです。僕にしてみれば、20年ぐらいお預けにしておいた絵本への思いというのが、急に蘇ってきたような感じがあったんですね。

自分らしい絵本ってなんだろう

─── そこから具体的に絵本の制作に入っていく訳ですね。どんな風にアイデアが固まっていったのでしょう。

『いわいさんちへようこそ!』の中で紹介した遊びやおもちゃは、作品的に作ったものじゃなくて、例えばトイレトレーニングのためにシール遊びをしたり、レストランでぐずった娘を、僕が箸袋を使っておもちゃを作ってあやしたりという、すごく現実的な生活の中で生まれてきたものです。絵本のアイデアも、できれば同じように生活の中から自然にでてきたらいいなって思いました。

僕は、絵本そのものだけじゃなくて、作者の生き方や、絵本が生まれた経緯なんかにも昔からとても興味を持っていたんです。例えば、『ピーターラビット』は、作者のビアトリクス・ポターが病気の男の子に宛てた手紙から生まれたという話や、レオ・レオニの『あおくんときいろちゃん』は孫との遊びが絵本になった、というエピソードなど、昔からいいなあと思っていました。あとトールキンの『サンタ・クロースからの手紙』という本が、高校生の頃大好きで。いつか自分が親になったら、ああいうお父さんになりたいと思っていましたね。

そういうこともあって、僕も子どもとの付き合いの中から自然に絵本のテーマが生まれないかな、と漠然と思っていました。その頃、ちょうど娘が小学校1年生になって、数字の繰り上がりで苦労しはじめたんです。それを見て、「これは絵本になるかもしれない!」と。

───『100かいだてのいえ』のアイデアのベースは「子どもに算数を教える」というやり取りからだったんですね。

100かいだてのいえ100かいだてのいえ

作・絵:岩井俊雄
出版社:偕成社

そうなんです。昔、安野光雅さんのアルファべットや数字をテーマにした絵本に興味があったこともあって、自分なりの数字の表現を絵本でやってみたいな、と思い始めました。

また一方で、僕はメディアアーティストとして、コンピューターでもテレビでもゲームでも、当たり前になっている表現をちょっとずらして新しくする、ということをずっと追求してきたので、絵本というお題をいただいた時にも、自分らしい何か新しい表現ができないか、という気持ちもあったんです。

そうやって数字のことと、新しい表現のことを両方考えていく中で、建物をモチーフにした縦に開く絵本、というアイデアが生まれてきました。「数字が増えていくんだったら何で表現しようか。リンゴを並べるのか。それじゃ面白くないな。数字が増えていく感じを実感できるモチーフはないかな……そうだ、建物を登っていくのがいい。じゃあ絵本を縦に開いて高さを表現したらどうだろうか?」と、自然につながっていったんですね。

 『100かいだてのいえ』を出したら、縦に開く絵本、というのが注目されたことに加えて、ちょうど子どもが数字に興味を持っててすごく食いつきが良かったとか、子どもが100まで数えられるようになりました、とすごく喜ばれて。やはり、どこの家庭も同じなんだ、身近なところからテーマを見つけてよかったな、と実感しました。

─── 岩井さんの目を通して、「絵本」というものにどう向き合われながら制作されていったかという部分に、とても興味を持ってしまいます。

いきなりバーンと全部のイメージが浮かんだわけじゃなくて、絵本に対して素人だったということもあったので、少しずつ手探りで面白いことを見つけながら作っていったという感じです。その時に支えになったのは、普段から子どもたちと同じ目線で遊ぶ、おもしろがる、ってことをずっとやってきたことかなと思うんですけどね。

わが家の子どもたちとの暮らしについてブログに書いているんですが、子どものちょっとした遊びや発見の中にも物語があるなあってすごく思うんです。例えば、子どもが身近なものに何か面白さを見つけて遊びが始まり、それをさらに発展させていくうち、たまたま近くにこういう材料があったからこうなったとか、その遊びの過程をつぶさに書いていくと、本当に1つの物語みたいになってくるんですよね。それがすごく面白い。絵本になるかも、って思うようなエピソードもかなりあります。
逆に、例えば買ってきたおもちゃを、いきなりドカンと渡すと、もうそのおもちゃで満杯になっちゃって物語は生まれない。完成形が見えないからこそ、手探りで少しずつ作り上げていく過程が、遊びでも絵本でも一番面白いですね。

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岩井俊雄【いわいとしお】

  • 1962年生まれ。メディアアーティスト。子供の頃に母親から「もうおもちゃは買いません」と言われ、かわりに工作の道具や材料を与えられたことからものづくりに目覚める。1985年、筑波大学芸術専門学群在学中に第17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞。その後、国内外の多くの美術展に、観客が参加できるインタラクティブな作品を発表し、注目を集める。テレビ番組『ウゴウゴルーガ』、三鷹の森ジブリ美術館の映像展示『トトロぴょんぴょん』『上昇海流』や、ニンテンドーDSのアートソフト『エレクトロプランクトン』、ヤマハと共同開発した音と光を奏でる楽器『TENORI−ON』なども手がける。2007年、NHK教育の幼児番組『いないいないばぁっ!』のオープニングアニメーションを担当。現在ふたりの娘の父親として、書籍やブログを通して親子の創造的な関係を広めようと精力的に発信している。著書に『いわいさんちへようこそ!』、『いわいさんちのどっちが?絵本』シリーズ(全3冊)、『いわいさんちのリベットくん』(以上すべて紀伊國屋書店)、『100かいだてのいえ』(偕成社)がある。


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