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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2012.05.31

担当編集者の方にインタビュー!
「はじめての哲学」シリーズ

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担当編集者の方にインタビュー!「はじめての哲学」シリーズ

なんてかわいい子たち!思わず手にとりたくなる不思議なCGアート、そしてテーマは哲学!? オスカー・ブルニフィエの文、ジャック・デプレのイラストによるおしゃれなフランス絵本が「はじめての哲学」シリーズとして世界文化社より翻訳出版されました。現在『哲学してみる』『愛すること』『生きる意味』が発売中、『よいことわるいこと』『神さまのこと』がこれから刊行予定です。フランスで数々の賞を受賞し、世界19カ国で翻訳出版されている子ども向けの哲学絵本なんて、なんだか興味ありませんか? 編集者の伊藤尚子さんにお話をうかがいました。

はじめての哲学 生きる意味

はじめての哲学 生きる意味
文:オスカー・ブルニフィエ
絵:ジャック・デプレ
訳:藤田 尊潮
出版社:世界文化社

なにが幸せ? 生きていくのに、なにが大切?
――自分らしさを考える。“わたし哲学”はじまる。

はじめての哲学 愛すること

はじめての哲学 愛すること
文:オスカー・ブルニフィエ
絵:ジャック・デプレ
訳:藤田 尊潮
出版社:世界文化社

わたしの愛。あなたの愛。同じじゃないね。
――自分らしさを考える。“わたし哲学”はじまる。

はじめての哲学 哲学してみる

はじめての哲学 哲学してみる
文:オスカー・ブルニフィエ
絵:ジャック・デプレ
訳:藤田 尊潮 村山 保史
監修:村山 保史
出版社:世界文化社

哲学をイラストとともに考える、まったく新しい、
世にもかわいい哲学絵本、登場!あなたの「軸」をつくる、あなたの哲学。
ちょっと立ち止まって考えたいときのおすすめ本。

これって哲学?・・・「世にもかわいい哲学絵本」

─── 『愛すること』『生きる意味』のカバーの文字や絵に光沢がある!中身もカラフルでキュートですね。

フランスで印刷・製本しています。色合いはフランスらしくシックなようでもあり、ビビットなようでもあり・・・ですね。かわいいイラストの上に、日本語の文字の大きさをバランスよく配置していくことには気をつかいましたが、ほとんど原書のイメージどおりになっています。

─── こちらにうかがう前、絵本ナビ取材チームで『愛すること』を読んで、盛り上がったんですよ。「愛」について左右のページで違う考え方がずっと語られるんですけれど、たとえば、左ページ「友情は瞬間的に生まれるものだ ある日友だちでも次の日はもう友だちではない そういうものだ と考えるひとがいます」に対して、右は「他のひとは 友情は時間をかけてできあがり ずっと続いてゆくもので 岩のように固い と思っています」・・・ここから一時間くらい話ができそうでした。私は瞬間的なほうかも(笑)。左ページはにっこり笑って「じゃあね!」と手をふっていますね(笑)。「あなたはどっちの考え?」「どうしてそう思うの?」と周囲に聞いてみたくなりました。同僚や友人の違う一面が見られそう。でも・・・これって哲学なんですか?

はい(笑)。ちゃんと自分を相手にして考えることは、哲学だと思います。
人文コーナーで「哲学の本」を見ると、ニーチェやデカルトなど偉大な哲学者の思想を学び理解するための本や箴言集が多いんです。でもこの本は違います。自分で哲学を「する」ための「絵本」なんですね。考え抜かれた文とイラストから刺激を受けて、あれこれ自分で考えることになります。絵本とともに「考えることを楽しむ」=「哲学」する本。
私はこのシリーズを「世にもかわいい哲学絵本」だと思っているんです。

─── 哲学はむずかしいしわからないと思いこんでいたのが吹っ飛びます。こちらは左が「愛するということは 他のひとにやさしくすること けっして争わないことだ」。右が「すべての点で意見が合わなくても 愛し合うことはできる たとえ欠点を指摘し合うような仲でも 愛することはできる」。私は小さい頃から左ページの考えで育ってきたけれど、ダンナさんは右ページの考えで、反論でも意見を言うほうが喜ばれたことがあって(笑)なるほど〜と思った経験があります。大人でもぐっとくるように思うのですが、このシリーズは子ども向けなんですか?

キャラクターの子たちが学生かばんを持っているでしょう? フランスでは子ども向けの哲学絵本として発売されたんですよ。学生かばんを持つような小中学生くらいがターゲットだと思います。でも、大人にもおすすめです。
この本は数人であれこれ話しながら考えを深めることもできますし、もちろん一人でも楽しめる本です。読んでいると本のなかにいろんな考え方を持った仲間がいるような感じがしてきませんか? いろんな人がいろんな愛についての考えを口にしている。一人で考えこむと一本道になって行き詰まりがちだけれど、他人の考えに触れて受け止めると、自分はじゃあどうする、と揺さぶりをかけられて、考えがしだいに固まってくる面白さがあります。
この本は一人で読んだり眺めたりしても、他人と語りあうような「時間」を提供してくれる本じゃないかと思っています。

─── フランスでは子どもが「哲学をする」「考える時間をもつ」のは一般的なことなのでしょうか。このシリーズは「青年文学賞」「フランステレビジョン青年の部賞」「本の科学賞」などフランスで数々の賞を受賞して評価が高いそうですね。

フランスの高校では哲学の授業が必修と聞いています。ほとんどの親御さんが一度は哲学を学んでいるとしたら、日本とフランスでは家庭環境が違うし、フランスの子どもは日本よりずっと哲学しやすいと言えますね。
昨年「ちいさな哲学者たち」というフランスのドキュメンタリー映画が日本でも公開されましたが、映画のなかでは、幼稚園を舞台に、3〜5歳の子どもたちへ哲学の授業をするという「世界初」の試みがされています。先生が子どもたちに問いかけ、待つ。正解は用意されていない。そしてやがて、愛について、結婚について、豊かさについて、彼らなりに語りはじめるんです。最初は完全に無反応なのですが、2年間カメラが追った後には「てつがくのじかんはたのしい」「かんがえるのはたのしいから」と子どもたちが語ります。「親はなんのやくにたつのか?」と考え始める子どももいたりして(笑)。その成長ぶりは感動的です。
「はじめての哲学」シリーズのなかでは、フランスでは最初に『哲学してみる』が出版され、これがいちばん売れていたそうです。『愛すること』『生きる意味』よりずっと難解で、文字数もページ数も多いので、おどろきですよね。

出版社おすすめ



児童書出版社さん、周年おめでとう! 記念連載

オスカー・ブルニフィエ(おすかーぶるにふぃえ)

  • 哲学博士、教育者。おとなのための哲学教室と子どものための実践哲学を広めるため数々の国で活動。これまでの著書として、多くの言語に翻訳されている子ども向けのシリーズ『L’apprenti-philosophe』(ナタン社)、教師向けの『Enseigner par le debat』(CRDP社)、『Le petits albums de philosophie』(アルコフリバ・ナジエ社)などがある。日本では『人生って、なに?』(朝日出版 社)、『よいこととわるいことって、なに?』(朝日出版社)、『愛すること』(世界文化社)、『生きる意味』(世界文化社)が翻訳出版されている。また世界における哲学についてのユネスコ白書も手がけている。

ジャック・デプレ(じゃっくでぷれ)

  • 1985年高等美術学校入学。1990年代初め、当時は発展途上だった新しい媒体、バーチャルイメージへと転向。この選択によって、ドキュメンタリー映画、ビデオゲーム、建築、舞台美術といった多方面で活躍するようになる。現在はイラストレーター。言葉とイラストとの奇妙な関係を模索しながら、空間、身体、光に関する自らの考えを追求している。作品『Le livre des grands contraires philosophiques』(邦題『哲学してみる』)は、オスカー・ブル二フィエとの最初の共同制作本で、フランスにて2008年の青年文学賞、同年のフランステレビジョン青年の部賞、2009年の本の科学賞を受賞。現在までに19の言語に翻訳されている。

作品紹介

はじめての哲学 生きる意味
文:オスカー・ブルニフィエ
絵:ジャック・デプレ
訳:藤田 尊潮
出版社:世界文化社
はじめての哲学 愛すること
文:オスカー・ブルニフィエ
絵:ジャック・デプレ
訳:藤田 尊潮
出版社:世界文化社
はじめての哲学 哲学してみる
文:オスカー・ブルニフィエ
絵:ジャック・デプレ
訳:藤田 尊潮、村山 保史
監修:村山 保史
出版社:世界文化社


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