絵本ナビ副編集長秋山

「今、小学生の自分に薦めたい1冊は?」と考えた時に、真っ先に思い浮かぶのは『二分間の冒険』。残念ながら私が出会ったのは、小学生からははるか遠い20代後半、小学校の図書室に勤め始めたころでした。学校の校庭に突然現れたダレカと名乗る黒猫、校庭からつながる別の世界。そこで出会った名前も顔も同じなのにどこかが違うクラスメイトたち。もとの世界に戻るために見つけなければならないキーワード「この世界でいちばんたしかなもの」、別の世界で余儀なくされる竜との対決‥‥‥。

つぎつぎに深まる謎と、ことばの魅力(ダレカ、たしかなもの、選ばれたもの、竜の館)にもう大人である私ですらたちまち惹きこまれ、電車の中で読んでいたらあまりに夢中になりすぎて、降りる駅をすっかり乗り過ごしてしまったほどでした。とくに主人公が、謎の老人から特別な剣をもらい、その後、剣の秘密を知っていく場面は衝撃的で、この物語の表紙を目にするたびにドキドキと思い出します。

この物語にもし小学生のころに出会えたならば、もっともっと興奮したのではないか、別の楽しさも感じたのではないかと思うと悔やまれてなりませんが、代わりに、小学校高学年ぐらいの子どもたちでふだんあまり本を読まない、まだいまいち本の面白さが分からないという子がいたら、どんどん手渡したいと思っています。

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二分間の冒険

二分間の冒険

作:岡田 淳
絵:太田 大八
出版社: 偕成社

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みんなのコメント

2コメント

  • 絵本ナビ副編集長秋山

    >せとぐっじょぶさん
    今からでもぜひ! 読み終えたら、ああ、これは子どもの時に読みたかったと悔しい思いもするかもしれませんが、でも何歳で読んでも面白くて夢中になるお話だと思います。

  • せとぐっじょぶ

    未読のまま30代に突入していることを後悔しました…!娘にはそんな思いをさせないように、今から本棚に迎えたいと思います!

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